過去ログ - 勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」
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102:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 00:16:02.04 ID:agZ8HDU50
魔猿「オ…ノ、レ……!!」

武道家「……ッ!! コイツ、まだ生きて……!!」

勇者「なんて生命力……!!」

僧侶「武道家さん!! 危ない!!」

武道家「くッ…!!」

 魔猿は左手で武道家の腕を掴み、右腕を振り上げた。
 魔猿の額に突き立ったまま固定されたスピアが武道家の動きを阻害する。

魔猿「死…ネェッ!!!!」

 しかし振り下ろされた魔猿の右腕は空振りした。

魔猿「ガ…?」

 魔猿の腕はその肘から先が無くなっていた。
 何事かと魔猿はぎょろりと眼球を動かし、周りを見渡す。
 頭上で己の腕が回っているのが見えた。
 次に地面を穿つ剣の先に気付いた。
 戦士が、振り上げた魔猿の腕を、一刀両断に切り落としていた。

戦士「ゲッホ……お返しだ、この猿野郎」

 戦士が振り下ろした剣を構え直す。
 その体勢から、次は剣を横なぎに振るうつもりであることが明白に読み取れる。

魔猿「……ッ!!」

武道家「おっと、動くなよ魔猿とやら」

 武道家はスピアを突き立てたまま、空いた方の手で魔猿の首の毛に指を絡め掴み取る。
 そうすることで、魔猿の動きを阻害する。

魔猿「離セ!! オノレコノウジ虫共ガ!! ハナセェェエエエエエ!!!!」

 戦士が剣を振る。
 横なぎに振るわれた、戦士の全身全霊の一撃。
 それは魔猿の防御を易々と貫き、魔猿の体を腰元から上下に両断した。

魔猿「カ…ハ……」

 武道家は魔猿の額からスピアを引き抜く。
 どさりと音を立て、魔猿の上半身は下半身と重なりあって地面に落ちた。

勇者「今度こそ……やったか?」

武道家「だろうな……すまんが僧侶、回復を頼めるか?」

僧侶「あ、はい……ひっ!」

勇者「おま……どうしたその腕ッ!!」

武道家「最後に奴に掴まれた時にな……凄まじい力だった。今回はたまたま圧倒できたが、やはり強敵だったよ、奴は」

 武道家の腕は、魔猿に掴まれたところからぽっきりとへし折られていた。
 まるで関節が一つ増えたように、肘と手首の中間あたりで直角に腕が折れ曲がっている。

勇者「うええ…! お前痛くねーのかよそれ…」

武道家「凄まじく痛いな……実は吐きそうなのを必死で堪えている」

僧侶「す、すぐに治療しますぅ!!」

勇者「戦士、お前は大丈夫なのか? 確かまともに一撃もらってただろ」

戦士「私は鎧の上からだったから、そこまでの損傷は受けていない。回復は後回しで構わん」

勇者「痩せ我慢すんなって。ほれ俺が回復してやるから、近うよれ」

戦士「……お前、昨夜私がちょっとみっともない姿見せたからって調子にのるなよ?」

勇者「ちょっと? あれがちょっとねえ……」

戦士「う、うるさい!! 二度とあんな不覚はとらんからな!!」



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