過去ログ - 勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」
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109:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 00:26:27.06 ID:agZ8HDU50
獣王「何だ……何だコレはァッ!!!!」

 響いたのは獣王の激高する声。
 武道家、戦士、僧侶、そして勇者―――四人はそれぞれ、地面に倒れ伏していた。

獣王「弱すぎるッ!! これでは我の渇きを潤すことなど出来ん!! おのれ『暗黒騎士』め、我を謀ったな!!」

獣王「何が『今日ここに現れるのは我でなくては相手が務まらぬ猛者』だ!! この様な羽虫ども、辺境攻めの雑魚どもで十分対応できようが!!」

 怒気を孕んだ獣王の雄叫びは、最上級の気付け薬となった。
 勇者は辛うじて意識を取り戻す。
 勇者は、自分が何をされたのかすら把握できていなかった。
 一瞬、獣王の姿が消えたと思ったら、地面に打ち倒され、目の前が真っ暗になった。
 察するに、獣王は何も特別なことはしていないのだろう。
 ただ近づいて、小手調べのための一撃を放った。
 それだけで、勇者たちは全滅してしまったのだ。
 勇者は獣王に気付かれないように、ゆっくりと顔を巡らす。
 戦士、武道家、僧侶―――三人とも、何とか息をしている。まだ誰も死んでいない。
 小手調べの段階で全滅したのは、不幸中の幸いといえるだろう。下手に初撃を耐え抜いていれば、続く二撃目で命を落としていた可能性が高い。

勇者(あとは、このまま死んだ振りを続けていれば……獣王のあの様子じゃ、俺達を見逃す可能性も……)

 そんな勇者の淡い希望は、しかし即座に打ち砕かれた。

獣王「チッ…彼奴にいいように使われるなどまったく癪に障るが…一応、魔王様の命令でもある……この虫共の首、持って帰らねば」

勇者(な…あ…!?)

 獣王が勇者に向かって歩み始める。

勇者(ど…どうする……!?)

 一歩。さらに一歩。
 獣王の歩みは、今の勇者にとっては殊更ゆっくりに見えた。
 しかし確実に、着実に、獣王は勇者の体に歩み寄ってくる。

勇者(どうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうするどうする!!!!???)

 ―――どう考えても、結論はひとつしか出なかった。



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