過去ログ - 勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」
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[saga]
2014/11/12(水) 19:42:53.62 ID:7nqo4Ch10
勇者の持つ剣は刃の長さ90pほどの、所謂長剣である。
大上段から振り下ろされた戦士の大剣の一撃をまともに受ければ刀身を粉砕される恐れがある。
勇者は振り下ろされる大剣の横腹を打ち、剣の流れを逸らすことで最初の一撃をやり過ごす。
戦士「ちぃッ!!」
勇者「いや、ちょ、マジで勘弁!!」
二撃目、三撃目。次々繰り出される刃を勇者は必死になってひたすら回避する。
勇者は今日一日戦士の戦い方を観察してきた。
だから、わかる。
わかってしまう。
今の自分ではどう足掻いても剣の腕前で戦士に勝つことはできないことがわかってしまう。
勇者(そんなでっけえ大剣でそのスピードがありえねえっつーの!!)
通常、長剣が大剣より優れているのは小回りがきくところだ。
というより、一撃の隙が大きいのが大剣の弱点だという方が正しいだろう。
それ故、本来初撃をかわした段階で勇者が圧倒的有利になってしかるべきである。
だが戦士の技量はその常識を覆す。
150pもの刀身をもつ大剣を、まるで小枝のように操り、むしろ勇者よりも小回りを利かせて連撃を繰り出してくる。
こうなると勇者にはもう打つ手がない。
リーチも、速度も、重さも、全て劣っている。
攻勢に転じられるわけもない。ただひたすら防御に集中しなければあっという間に体を上下か左右のどちらかに両断されるだろう。
戦士「ふっ!!」
勇者「んがああああ!!!!」
戦士が横なぎに振るってきた一撃に刃を合わせ、荷重がかかってきたのを見計らって後ろに飛ぶ。
からくも着地に成功し、勇者は一時的に戦士との距離を取ることに成功した。
勇者(もうやだもうやだマジでもう一回来たら逃げる町までダッシュで逃げる)
戦士「………貴様、何故私に攻撃してこない」
勇者(出来るかあああああ!!!! こちとら防御すんので手一杯じゃあああああ!!!!)
と、言うのも悔しいのでせめて強がることにする。
勇者「………女の子に向かって剣は振れないさ」
戦士「……ッ!!」
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