過去ログ - 勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」
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873:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 23:41:15.78 ID:50uoFRyB0
 魔王軍によるかつてない規模での大侵攻。
 武の国は何とかこれを退けることに成功した。
 その勝利の要因を挙げるとすれば、やはり勇者達の介入があったことに尽きる。
 勇者達自身が大量の魔物を討伐したことが勝利に直結したのは勿論だが、何より勇者の生存を知った兵達の士気が跳ね上がったことが大きかった。
 かつて一度は魔王を打倒し、世界を救った『伝説の勇者』の息子。
 その健在は、戦う兵達に希望をもたらした。
 「まだ俺達は負けていない」と、「勝てる」と強く意識せしめた。
 そうして底力を発揮した兵達により魔王軍は押し返され―――勇者は救国の英雄と称えられた。
 勇者の存在は今や紛れもなく人々の希望の象徴となっていた。
 そんな勇者は現在、武の国の王、武王と対峙し頭を垂れていた。

武王「よせよせ。頭を下げるべきはむしろこのワシだ。この国を救ってくれた恩人に頭を下げねばならぬのは、このワシなのだ」

 そう言って玉座から立ち上がった武王は勇者に対し深々と頭を下げた。
 その行為を、傍に控えた女王も大臣も、王の護衛に当たる兵士達も、誰も咎めなかった。

勇者「お、おやめください。私の助力など微々たるもの……全ては練度高きこの国の兵士たちの尽力の賜物でございます」

 ただ一人、分不相応な対応に居心地の悪さを感じていたのは当の勇者だけだった。

武王「謙遜するな勇者。お主の働きなくばこの国は魔物どもに侵され、多くの無辜の民が犠牲になっていたことだろう。この恩をワシは忘れん。何かお主に望みがあれば、可能な限り応えるつもりじゃ」

勇者「過分なお言葉ありがとうございます。では、大変図々しく恐縮でございますが、早速お願いがございます」

武王「よい。何なりと申せ」

勇者「魔王を打倒するための最終作戦―――その遂行に、全面的に御協力をいただきたい」


 その言葉に―――しん、と水を打ったように場内が静まり返った。



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