過去ログ - 勇者「伝説の勇者の息子が勇者とは限らない件」
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以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
[saga]
2016/01/11(月) 23:50:08.95 ID:50uoFRyB0
戦士は勇者の部屋のドアをノックするが、返事は無かった。
戦士「むう……一人で街にでも出かけたのか?」
当てが外れた戦士はまたぽりぽりと頬を掻く。
戦士「でも、今のアイツがそんな気分になれるとは思えないんだよな……ちょっとだけ心配だ。もう少しだけ探してみよう」
戦士は勇者を探して王宮中を歩き回った。
途中すれ違った人物に話を聞くと、先ほど三階のテラスで姿を見かけたとのことだった。
とりあえず行ってみようと、三階のテラスへと向かう途中で、戦士は廊下の向こうに勇者らしき横顔を見かけた。
戦士「おーい、勇……」
勇者は戦士に気付かず部屋の中に入っていってしまった。
何気なく戦士は勇者が入っていった部屋の前まで歩み寄る。
戦士「え…?」
戦士は絶句した。
勇者が入っていったのは、エルフ少女の部屋だった。
ドアの隙間から漏れ出てくる声に、戦士は思わず耳を澄ましてしまう。
「悔いを残したくないんだ」
勇者のそんな声が聞こえた。
「いいよ、勇者。君の望みなら私はなんだって叶えてあげる」
エルフ少女の、そんな声が聞こえた。
そして、しゅるしゅると、衣服を脱ぐような、衣擦れの音。
「どうぞ……隅から隅まで、私の全てを君の物としてくれ。勇者」
戦士が聞いていられたのはそこまでだった。
戦士は部屋の前から離れ、駆け出していた。
どうして自分が泣いているのか、理解できなかった。
――――理解したくなかった。
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