2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/15(土) 21:09:40.85 ID:Pp1nkFxlo
「綺麗ですね」
ほぅ、と白い息を吐き出して、男の人が望遠鏡から目を離しました。
私に番を譲るように差し出された手に、ふるふると首を振って答えます。
「見ないんですか?」
「星はきらきら綺麗です。でも、私はそこまで行けません。手も届かない、です」
「そうですね。宇宙飛行士でもなかなか難しいでしょう」
「それが、とても悲しい。だから、見ないです」
レンズを外して、カバーを嵌めて。
折り畳もうとした三脚は、手を引っ込めてしまうくらい冷えきっています。
「星に手を伸ばせる方法を。私は、知っています」
バッグのファスナーを降ろす手が止まりました。
思わず見上げると、男の人は空をじっと見つめています。
「……プラーヴダ……本当、ですか?」
「私もあなたも、努力は必要です。ですがあなたなら、決して夢のままでは終わらないと思います」
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