過去ログ - 勇者の娘「お父様の仇を討ちます」
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12: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2014/11/21(金) 22:09:02.55 ID:kJl2AN3m0
暗黒騎士「協力しろ――魔王を討つ」
―――何を言っているの?
魔王を討つ?それは上等。
協力しろ?勇者一族として当然。
だけど何故貴方がそんなことを言うのか。さっきまで魔王に頭を下げていた男が。
令嬢「理解ができないのですけれど?」
暗黒騎士「だろうな」
私の反応を予想できていたというのに、理解できない言葉を発したと言うのか。ますます訳のわからない男だと思う。
暗黒騎士「説明するには、俺の過去から話す必要があるのだが――」
令嬢「長い話なら、聞きませんよ」
暗黒騎士「なら短くまとめよう。さっき誰かが言ってたように俺は元人間だ。人間の頃魔王に殺されかけ、奴に忠誠を誓う代わりに命拾いをした。だが心の中では、まだ奴への復讐心が残っている」
令嬢「殺されかけた理由は?」
暗黒騎士「当時俺は魔物退治を生業としていた。仕事上の標的が魔王だったのが運の尽きだったわけだ」
令嬢「意外性が無くて平凡な話ですね」
暗黒騎士「同情してくれないのか?俺は被害者だ」
令嬢「無力化した女を壁際に追い詰めるような殿方に持ち合わせる同情心はありません」
そう言うと暗黒騎士はふっと笑いながら私から離れる。彼にとってはおふざけだったのだろう。こっちからすれば冗談ではないが。
暗黒騎士「俺に魔王は討てない」
暗黒騎士は自嘲気味に言った。
令嬢「貴方、自分の不甲斐なさを暴露するつもり?」
暗黒騎士「勇者でないと討てないんだ」
令嬢「どういう事かしら?」
暗黒騎士「魔王は、不死の肉体を持っている」
令嬢「―――!」
それだけで、彼の意図が私にはわかった。
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