過去ログ - 勇者の娘「お父様の仇を討ちます」
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3: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2014/11/20(木) 21:25:42.11 ID:cSJEM5KH0
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魔王「出だしは順調だ。英雄たる勇者を討たれ、人間達は絶望しただろう」
呪術師「でしょうねぇ…ヒヒヒ、人間達が我らに降伏するのも時間の問題…」
悪魔「しかし中央国の王子も勇者に劣らぬ剣の使い手と聞く。くれぐれも油断せぬよう」
翼人「誰にものを言っている。魔王様が油断なさるはずがない」
猫男爵「ともあれ今日の作戦は大成功だな」
令嬢「…」
私は捕まり、魔王城へ連れてこられた。我が家を襲撃した魔物達が、私の目の前で父の敗北を嬉々として語っている。
屈辱だ。けれど自分を落ち着かせ、表情を固くする。どんなに悔しくても、それを表には出したくない。
暗黒騎士「失礼します」
と、先ほど私を組み伏せた暗黒騎士が遅れてやってきた。
猫男爵「ご苦労暗黒騎士。さて、幹部が揃ったな」
呪術師「ヒヒ魔王様、例の件ですが…」
魔王「あぁ褒美の件だろう、忘れてはいない。勇者の邸宅から持ち帰ったものを好きに山分けするといい」
魔王がそう言ったタイミングで、下級の魔物が我が家から持ち帰った財産の数々を持ち込んできた。
怒りが収まらない。財産を山分けしている魔物達を見て、大事な思い出を汚された気分になった。
翼人「ところで魔王様」
翼を生やした人型の魔物は、ふと、私の方を見た。
翼人「勇者の一族に生まれた者は、勇者となるようですが――」
その言葉と同時に視線が私に集中した。
悪魔「貧相な人間の小娘だな。こんなのが勇者だと?」
呪術師「その一族に生まれただけの小娘に過ぎん」
猫男爵「その血筋だというだけの者に希望を抱くとは、だから人間は頭が悪くて嫌いなのだ」
次々に侮蔑の言葉を浴びせられる。
屈辱と恐怖で気が狂いそうだ。表面的に装っている平静はいつ崩れるか、時間の問題だ。
そして私の恐怖は、次の瞬間頂点に達した。
呪術師「だが、見た目は上玉な娘だ」
ぞわりと悪寒が走る。
わざわざ生かしておいたということは、やはりそういうことか――私は表情が歪むのを必死に堪える。
呪術師「ヒヒヒ…」
その目つきがおぞましい。
もしそいつが少しでも私に触れようものなら自害してやろう。きっと抵抗も、逃げることもできない。私は決意し、懐の小刀を見えないように握り締めた。
暗黒騎士「待て」
だが私に近寄ろうとする呪術師の肩を、暗黒騎士が止めた。
呪術師「何だ暗黒騎士?お前も混ざるか?」
暗黒騎士「褒美の件だが――俺はその娘を貰う」
令嬢「…………え?」
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