過去ログ - 勇者の娘「お父様の仇を討ちます」
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33: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2014/11/23(日) 11:54:07.87 ID:O3+Giyc+0
従者「ところでお嬢様、魔王は不死身なんでしたっけ?」

室内で適当に時間を潰している時、従者がそんなことを言ってきた。

令嬢「えぇ、そうらしいわ。不死身の肉体を持ちながら、最近まで只の魔族として潜んでいたようね」

従者「目立ったことをしたら旦那様にすぐ狩られていたでしょうしね!事前に不死身だとわかっていれば、旦那様も負けなかったでしょうに…!!」

令嬢「それはどうしようもないわ。私は魔王が不死身だと知れたし、魔王を討てる希望はあるわ」

従者「えぇ…勇者一族に伝わる必殺技、光の剣でですね!」

光の剣。一族最初の勇者と言われる勇者が光の女神と契約を交わし、代々引き継がれてきた技。
光の剣に斬られれば、どんなに生命力の強い者でも「消滅する」のだ。
だけどその必殺技の存在は門外不出、一族とそれに仕える一部の者しか知らない技だ。

従者「暗黒騎士さんはその存在を知っていたんですかねぇ?」

令嬢「いいえ。もしかしたらと思って探ってみたけれど、その素振りは無かったわ。彼は勇者なら魔王を討てるという御伽噺を信じているのよ」

従者「あぁ、成程…。けど御伽噺なんかじゃありません、お嬢様しか不死身の魔王を倒せないんですから」

令嬢「えぇ、そうね。…でも」

私は手をかざし、集中した。

出ろ――光の剣

すると私の手が光り、その光はそのまま伸びて剣の形になった。

従者「出たーっ、勇者一族秘蔵の光の剣!」

令嬢「…駄目よ」

光の剣は一瞬で消える。

令嬢「私の光の剣は未熟なの。持続力がないし、短いから魔王に届かないかもしれない」

従者「そこは修行ですよ!光の剣は精神的なもので強くなるって言うじゃないですか、お嬢様ならすぐに強くなります!」

令嬢「…そうね、頑張ってみるわ」

今まで平和ボケしていたせいで強くならなかったのかもしれない。精神を鍛えるには、今はいい機会だ。
その為には心の武装が必要不可欠――やはり暗黒騎士相手にも心を許すわけにはいかない。

だけれども。

従者「魔王との戦いサポートできるよう、俺も一緒に頑張りますよ!!」

令嬢「…えぇ」

従者といる時だけは自然体でいよう。従者がいなければ、私は気持ちがもたなかったかもしれない。


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