13:1[saga]
2014/11/23(日) 22:34:18.05 ID:rlRo/uli0
背後では、彼女はどんな顔をしているのだろうか。
彼女の知らない顔は、きっといくつもある。
自分に向ける顔は、殆どが怒りに顔を赤らめた表情ばかりだった。
今振り向けば、自分の知らない彼女が見られるかもしれない。
しかし、それも憚られた。
自分の中に停滞し続ける、彼女の思い出を不変のままにしたかった為だ。
今ここで彼女との思い出を改変してしまえば、それは彼女への不敬となるだろう。
引かれる後ろ髪を断ち切るように、手櫛で大きく梳くと付着した雨粒が跳ねた。
扉を開けて中に入ると、雨粒の音も随分と篭る。 それどころか外で走る喧騒すらも。
服や髪に張り付いた雨が、また新しい水滴となって床に落ちる音以外、全て非現実に思えてしまう。
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