過去ログ - 絵里「これは」にこ「恋ではない」
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4: ◆gDTYF1szXU[saga]
2014/11/25(火) 21:56:09.19 ID:gmNfp8uFO
絵里が泣き止むのを待つこともなく、車は彼女の自宅前に停まった。

いつから変わっていったのだろう。考え込むまでもなく、答えはすぐ傍に。

私がアイドルとして夢を叶えたその時から、きっと少しずつおかしくなってしまったのだ。

それまでの私達の関係は決して冷えきったものではなく、むしろ互いを情熱的に愛し合っていた。

もちろんそれは、今でも変わらない。

けれど互いにもう一歩、踏み込めなくなったことも事実だった。

私達の生き方が、誰からも祝福をされないものだと気が付いた時から。

お互いがお互いに、気を遣うようになった。

「もう……だめなのかもしれないね」

車の扉を閉める間際にそう零して、此方を振り返ることもせずに絵里は去った。

彼女の指定席だった筈の助手席で、空虚に漂う残り香。

次第に薄まっていく彼女の芳香は、私を奮い立たせるには十分な威力を秘めていた。

慌てて車を飛び降りて、折れそうなヒールにも構わずに私は駆ける。

背後から思い切り抱き締めた彼女の肩は怯えるように震えて。

どうすればこの震えを止めてあげられるのか。それだけを考えて、ただ強く抱き続けた。


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