過去ログ - ビッチ(改)
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23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/11/27(木) 23:57:15.24 ID:McEK2sxMo

 奈緒と一緒にいると三十分なんてあっという間に過ぎていってしまった。学校がある駅
に着いた時、僕は自分の腕に抱き付いている奈緒の手をどうしたらいいのかわからなくて
一瞬戸惑った。このまま乗り過ごしてしまってもいいか。そう思ったとき、そこで彼女は
僕の高校のことを思い出したようだった。

「あ、ごめんなさい。明徳ってこの駅でしたね」

 奈緒は慌てたように僕の腕と手から自分の両手を離した。彼女の手の感触が失われると
何だかすごく寂しい気がした。

「ここでお別れですね」

「うん・・・・・・明日は時間どうしようか」

「あたしは奈緒人さんに合わせますけど」

「じゃあ今日より三十分くらい遅い時間でいい?」

「はい。また明日あそこで待ってます」

 ここで降りるならもう乗り込んできている乗客をかき分けないと降車に間に合わないタ
イミングだった。

 僕は彼女に別れを告げて乗り込んできている人たちにすいませんと声をかけながら、何
とかのホームに降り立つことができた。



「何の話してるの?」

 昼休みの学食のテーブルで僕と渋沢が昼食を取っていると志村さんが渋沢の隣に腰掛け
た。

「おお、遅かったな。いやさ、奈緒人にもついに彼女ができたって話をさ」

「うそ!」
 志村さんは彼の話を遮って目を輝かせて叫んだ。「マジで? ねえマジ?」

「おう。マジだぞ。しかも富士峰の中学二年の子だってさ」

「え〜。富士峰ってお嬢様学校じゃん。いったいどこで知り合ったの?」

 以前の僕なら一度は本気で惚れて告白しそして振られた女さんのその言葉に傷付いてい
たかもしれなかったけど、実際にこういう場面に出くわしてみると不思議なほど動揺を感
じなかった。

「通学途中で偶然出会って一目ぼれされた挙句、メアドを聞かれて次の日メールで告られ
たんだと」

 渋沢が少しからかうように彼女に説明した。

 確かに事実だけを並べるとそのとおりだけど、何だか薄っぺらい感じがする。でもそれ
が志村さんにどういう印象を与えたとしても、今の僕にはさほど気にならなかった。

「奈緒人君にもついに春が来たか。その子との付き合いに悩んだらお姉さんに相談しな
よ」

 志村さんが笑って言った。

「誰がお姉さんだよ」

 僕も気軽に返事をすることができた。

「奈緒人さあ。今度その子紹介しろよ。ダブルデートしようぜ」

 渋沢が言った。

「ああ、いいね。最近、明と二人で出かけるも飽きちゃったしね」

 志村さんも渋沢の提案に乗り気なようだった。

「おい。飽きたは言い過ぎじゃねえの」
 渋沢が言ったけどその口調は決して不快そうなものではなかった。「そうだよ。四人で
遊びに行こうぜ。昨日イケヤマと彼女が別れちゃってさ。それまでは結構四人で遊びに行
ったりしてたんだけどな」


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