過去ログ - 海未「夜の果てへと旅立ったあなたへ」
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/01(月) 14:19:43.68 ID:2hBFblv8o

 畳の上でぽっかり空いた場所を眺めていると、最後の日の声が聞えてくるようです。

 海未ちゃん、叱ってよ。
 私のこと、愛する娘を奪って逃げてこうとか考えちゃう、最低な私のこと。
 ひっぱたいてよ、強引に連れ戻してよ、昔みたいにさ。

 あの子は、
 いま私がいる場所からちょうど一メートルもしない場所で寝転がって、
 温度のない声でぼそぼそとつぶやいていました。

 いつかの、何も知らなかった頃の私なら、
 道理を説いて正論で押し殺すような、
 それこそあの子が言ったようなやり方で引きずり戻せたのかもしれません。

 でも、
 そうするには私たちはもう年を取りすぎていました。

 あの夜にはもう、
 宵闇の帳があの子と私の間を遮ってしまっていて、
 同じく赤の他人である私には、声も言葉も何一つ届かないと悟ってしまったのです。




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