過去ログ - 苗木「彼女との再会」
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38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/06(土) 00:06:59.88 ID:c4r4o16co

――ガチャッ。

「!」

と、そう思ってる内に、隣のドアが音を立てて開く。

「あ、苗木君!」

そして中から舞園さんが出てきて、僕を見ると嬉しそうにすぐ側までやってきた。

「おはよう御座います! 昨日に続き、今日もいい天気になりましたね!」
「う、うん。舞園さんもおはよう」

見た人全ての表情を和らげさせるような、そんな弾ける笑顔が僕に向けられる。流石は舞園さん、挨拶のレベルが違う……。
こんな笑顔を朝早く、それもこれから毎日目の前で見られるなんて幸せだ。

「それにしても苗木君、早いですね。もしかして待たせちゃいました?」
「ううん、そんな事ないよ。僕も今さっき部屋から出てきたばかりだから」
「それなら良かったです。ふふっ……これから毎日、一緒に朝ご飯が食べられますね。嬉しいです」
「ぼ、僕も」

食堂の料理が美味しいのはもちろんだけど、舞園さんの隣で食べるとより一層美味しく感じられるんだよな。それはきっと、気の所為なんかじゃないはずだ。
と、今はそれよりも――

(舞園さん、やっぱり似合うな……)

目の前の舞園さんも、言うまでもなく僕と同じ希望ヶ峰学園の制服姿だ。ピンクや紺が目立ってた根黒高校のセーラー服とは打って変わって、男子と同じく全体的に茶色のシックな制服。
明るい色合いから落ち着いた色合いになった分、元が学ラン姿だった僕よりも、受ける印象が昨日と今日とで大分違う。けど、舞園さんはそんな希望ヶ峰学園の制服も難なく着こなしている。
僕と違って、服に着せられてるなんて事は全然ない。流石は『超高校級のアイドル』だ。

「わ、私の制服姿、何かおかしいですか……?」
「へっ!? ど、どうして?」
「その……苗木君、じっと見てたもので。おかしい所があったら、遠慮せずに言ってくれると助かります」
「お、おかしくなんてないよ! 舞園さん、すごく似合ってるから!」

単に、思わず魅入ってしまってただけだ。お世辞なんかじゃなく、本当によく似合っている。

「本当ですか? ありがとう御座いますっ。苗木君も思った通り、とっても似合ってますね」
「そ、そうかな? 自分じゃどうも着せられてるように見えるんだけど……」
「そんな、ちゃんと着こなしてるじゃないですか。素敵だと思います」
「あ、ありがとう……」

照れ臭くなり、頬をぽりぽり掻きながら伏し目がちに呟く。やっぱり褒めてくれた……それに、また素敵って言われて。
舞園さんに褒められたこの制服、明日からは自信を持って着る事が出来そうだ。

「うふふ……同じ学校の制服を着てるって、やっぱりいいですね。思わず頬が緩んじゃいます」
「……うん。これからは、また一緒に学校生活を送れるんだもんね」
「はい! 一緒に、です!」

そう言うと、舞園さんはぎゅっと僕の両手を握り、胸の前まで持っていった。一緒に……その言葉を、深く深く噛み締めているようだった。

「苗木君。この希望ヶ峰学園でいっぱい、いーっぱい思い出を作っていきましょうね。一緒に、楽しい思い出を!」
「うんっ!」

僕も喜びを噛み締めるように、元気良く、力強く頷いた。そして昨日と同じように、食堂までの道のりを肩を揃えて一緒に進んでいく。

……中学の時は遠目に見ていただけだったけど、この希望ヶ峰学園ではすぐ側で一緒に過ごす事が出来るんだ。
それに自宅通学だった中学の時とは違って、これからは寄宿舎生活。僕達が共有出来る時間は、あの時よりもずっとずっと多くなる。
そんな時間の中で色々な出来事を通して、これから舞園さんと仲を深めていきたい。



そうして一緒の時間を重ねていき、やがて僕達は特別な関係になるんだけど――それはまだ、暫く先の話。


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