24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/04(木) 23:22:38.75 ID:WsBRUpo9o
「そうそう。実はですね、苗木君の事は卒業してからもアルバムを通して見ていたんですよ。苗木君が映ってる写真を、時折眺めさせてもらってたんです」
「そ、そうなの? ありがとう……」
僕と同じだ。僕も卒業後はたまにアルバムを開いて、舞園さんが映っている写真を眺めていた。まさか、舞園さんも同じ事をしてたなんて……。
25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/04(木) 23:25:02.64 ID:WsBRUpo9o
「あっ……!」
直後、舞園さんは小さく声を上げて驚く。
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/04(木) 23:26:32.81 ID:WsBRUpo9o
サイン入りCDを机に置いて、僕達はまたダンボール箱の前に屈み込む。
「CDの下に卒業アルバムが入ってるはずだよ。この箱の中にあるのは、後は勉強に関する物くらいだね」
「なるほど……他には何を持ち込んだんですか?」
27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/04(木) 23:30:14.94 ID:WsBRUpo9o
「あの、苗木君。椅子、隣に寄せてもいいですか?」
「あ……う、うん。もちろん」
僕がそう返事をすると、舞園さんは自分の椅子を僕の椅子にくっつけた。そ、そうか。一緒に見るんだし、隣に座らないと当然見難いよな……。
28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/04(木) 23:32:05.56 ID:WsBRUpo9o
「舞園さんとは廊下なんかで結構すれ違ってたんだけど、気づいてた?」
「もちろん! すれ違う際には、必ず苗木君を見ていましたから」
「……そうだったの?」
「そうだったんです。目が合うと嬉しかったですよ? と言っても苗木君、いつもすぐに逸らしちゃってましたけど……」
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/04(木) 23:33:58.24 ID:WsBRUpo9o
「まあまあ、いいじゃないですか。……そうそう、見ていたと言えば、妹さんとお話している所もですね」
「あ、妹も知ってるんだ?」
「最初は妹さんだとは分からなかったんですけどね。『お兄ちゃん』って呼ばれてたのを聞いて、その時に初めて知りました。ただ、お名前までは知らないんです」
「えっと、平仮名で『こまる』だよ。苗木こまる、だね」
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/04(木) 23:35:07.79 ID:WsBRUpo9o
「っと、アルバムを見るはずだったのに話し込んじゃいましたね。続き、見ましょうか?」
「うん」
舞園さんは僕の両手から手を離し、再びアルバムのページを捲っていく。各クラス紹介を抜けると、活動風景のコーナーが目の前に広がった。
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/05(金) 00:03:55.47 ID:s6SZLq9Ao
その写真の隣には、同級生達が文化祭で楽しむ姿が何枚も貼られている。舞園さんもそこに視線を移したようで、懐かしむように口にした。
「楽しかったですよね、文化祭。毎年、苗木君と話す機会を窺ってました」
「文化祭でも?」
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/05(金) 00:32:41.94 ID:s6SZLq9Ao
「運動会も懐かしいですね。苗木君とは三年の時同じチームでしたよね」
「うん。出来たら三年間、ずっと同じチームが良かったけど……」
玉投げ、障害物競争、騎馬戦、大玉運び……学校中の生徒達が様々な競技で競い合っている運動会の光景も、多く写真に収められている。
33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/05(金) 23:59:48.08 ID:s6SZLq9Ao
「ありがとう御座いました! 苗木君と一緒のアルバム鑑賞、とっても楽しかったです!」
「こちらこそありがとう。僕も舞園さんと一緒に見るの、すごく楽しかったよ」
「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいです。やっぱり、一人で見るのと一緒に見るのじゃ全然違いましたね。……一人の時は、見終わった後にどうしようもない寂しさを感じていましたから。必ず、卒業式の日の事を思い出しちゃってました」
「卒業式の日の事……?」
34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/06(土) 00:01:23.41 ID:c4r4o16co
「苗木君、よかったら一緒に写真を撮りませんか?」
「写真?」
「せっかくこうして仲良くなれたんですし、記念に撮っておきたいなと思って。それで、その写真を苗木君にも送ろうかと……どうですか?」
「なるほど……うん、もちろん構わないよ。舞園さんと一緒に映った写真、僕も欲しいし……」
35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/06(土) 00:03:00.52 ID:c4r4o16co
「写真、ちゃんと貼れてますか?」
「えっと……うん、大丈夫だよ」
添付ファイルを開くと、さっき撮った写真が画面いっぱいに表示された。……舞園さんと共有する、僕達だけが持つツーショット写真。
36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/06(土) 00:03:55.29 ID:c4r4o16co
「……変に見えない、よな……?」
あれから僕は顔を洗い髪を整え、希望ヶ峰学園の制服に着替えて、その新しい制服姿をシャワールームの対面鏡で確認していた。
着慣れていた夕闇高校の学ラン姿と比べると、やっぱり受ける印象は全然違う。こうしていざ着てみると、こんな僕でもちゃんと希望ヶ峰学園の生徒に見える。
37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/06(土) 00:05:21.77 ID:c4r4o16co
(……二人だけの思い出、か)
話せる事は全部話したと言ったけど、家族に話してない事が一つだけある。それは何かと言うと――舞園さんが僕を覚えていたのに、あの鶴の一件が関わっていた事だ。
僕を覚えてくれていた事やずっと見てくれていた事は話しても、そのきっかけがあの鶴の一件だった事だけは秘密にしてある。
38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/06(土) 00:06:59.88 ID:c4r4o16co
――ガチャッ。
「!」
39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/06(土) 00:20:35.12 ID:c4r4o16co
読んでる方がいるのかは分かりませんが、以上になります
やっぱり回想描写?がどうも長くてくどいですね
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/06(土) 06:24:35.08 ID:3c/i/tB8o
ちょい遅くなりました乙です
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/08(月) 12:03:15.30 ID:cM19qEL0o
今このスレに気付いて一気に読んだ
こういう淡い青春みたいな話好き
これで終わりなのが名残惜しい
42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/08(月) 16:36:57.73 ID:EaNFSjkOo
読んでたよー
乙
43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/12/09(火) 13:45:54.29 ID:omGf/v5EO
乙 二人とも可愛いな
44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[age]
2014/12/13(土) 02:57:53.50 ID:92w2sKiSO
まだ?
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