4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage saga]
2014/12/01(月) 23:58:09.99 ID:9VvkdQfu0
(もう何人か来てる……かな?)
二十分前なんだし、誰かしら来ていても何らおかしくはない。僕以外の新入生がどんな人達なのかは、前日にも改めて調べ直したけど……いざ本人達と対面する事を考えると、やっぱりどうしても緊張するな。……あの人だって、いる訳だし。
「舞園……さん」
『超高校級のアイドル』――舞園さやか。国内で知らない者はいないと言われている、国民的アイドルグループ……そのセンターマイクを務める、今を生きる現役女子高生アイドル。そんな華やかな存在である彼女も、この希望ヶ峰学園の新入生の内の一人なんだ。
で、そんな舞園さんに対して、どうして『あの人』なんて含みのある言い方をしてるのかと言うと……実は僕は、本物の舞園さんと会うのは今からが初めてって訳じゃない。……僕と舞園さんは、同じ中学に通っていた同級生だったんだ。
(――根黒六中)
そこで三年間、僕と舞園さんは一緒に学校生活を送った。一緒になんて言うと何か関わりがあった風に聞こえそうだけど、実際は僕達に『同級生』として以外の接点なんて、何もありはしなかった。同じクラスじゃなかったし、会話どころか挨拶すら交わした事もない。精々、何度も目が合った事がある……ただ、それだけだ。それを接点だとは、とてもじゃないけど呼べないだろう。
中学を卒業して離れ離れになってからは、僕はもう舞園さんを生で見る事なんて、二度とないだろうと思っていた。ライブに行けた場合はそれも叶うには叶うけど、そもそも僕がライブチケットに当選するはずがない。だから、もうテレビや雑誌の中でしかその姿を目にする事は出来ない……そう、諦めていた。
だけど――あの日希望ヶ峰学園の入学通知が届いてから、僕の心境は一変した。舞園さんが希望ヶ峰学園に入学する事は、僕に入学通知が届く以前から決まっていた。それはテレビで大々的に報道されてたから、当然僕の耳にもちゃんと入っていた。だから僕は、希望ヶ峰学園に入学出来る事を家族と喜び合って――それから入学するこの日まで、また舞園さんに会える事に……そして、また一緒に学校生活を送れる事に期待に胸を踊らせていた。
……ただ、舞園さんと違って僕はどこにでもいるような平凡な人間。この希望ヶ峰学園に入学出来たのも、『超高校級の幸運』という文字通り運によるもので、別に何かしら超一流の才能を持っている訳じゃない。まあ、運も実力の内と言うけど……それでも、僕が平凡な人間である事に変わりはない。僕が舞園さんの事を覚えていたとしても、それは一方通行だ。舞園さんはきっと、単なる一生徒でしかなかった僕の事なんて覚えていないだろう。
――でも、覚えてもらえてなくても、だったらこれから覚えてもらえばいい話だ。中学の頃は話しかける事すら叶わなかったけど、これからは何て言ったって一緒のクラス。話を交わしてそこから仲良くなれる可能性は、幾らでもあると思う。まず、その話しかける事自体が出来るかどうか怪しいけど……仮に出来たとしても、会話が続くかどうかさえも。でもまあ、そこは前向きに考えないとな。だって、それこそが僕の唯一の取り柄なんだから。
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