過去ログ - 「恋を教えて」
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6: ◆NKLpmDNl12[saga]
2014/12/02(火) 22:15:38.84 ID:ZpbmKY/Z0
「お待たせー」
「今日は何するの」
「デート」
女の子2人で遊びに行くだけなのに、デートも何もない。ただこれも恋を教える一環で、私には間近でその子を観察する機会ということだ。
私は恋愛脳に程遠い頭をフル回転させた。甘いものを食べさせた。その子はクリームの乗ったスプーンをこちらに差し出してきた。どうやらコミカルな知識はあるみたいだ。
そのあとはその子が可愛いと言ったイルカのついたネックレスを買って、プレゼントした。

「きみがつけてよ」
せっかくプレゼントしたのに、と言うとそういう意味ではないらしい。
「私につけて、きみが」
後ろから首に手を回して付けようとするが、身長差が辛い。その子と私では10センチ以上、見ている世界が違う。
「身長高いよ」
もしかしたらコンプレックスかもしれないと思ったけれど、口をついて出てしまった。ゴメンと言ってしゃがむその子の、うなじが少し近くなった。そこからは少しだけ、汗の匂いがした。

次の週は何を思ったのか、2人で遊園地に行くことになった。ただ、彼女が試合があるということで、集合は夕方になったので、それまで私は本屋で遊園地デートの極意とやらを調べることにした。
と、ここまできて今更ながら、私が男役をしていることに気づく。あの子の方が確実に背が高いのに。恋を教わるのは女の子の特権なのかな、なんて考えたりもした。
本当のカップルなら、コーヒーカップで恋の花を満開にしたり、ジェットコースターやおばけ屋敷で吊り橋効果を狙うところなのかもしれないが、私たちはそうじゃない。ただ、雑誌を読んでいるとある箇所に目が止まった。

「観覧車!広い世界に二人きり、夜の星空が2人を祝福!」

そういえば、2人だけで話をしたのはあの教室が最後かもしれない。それからは2人のときも、外にいたからどこか遠慮がちだった。せっかくなら、2人でまた話したい、できれば、ここに書いてある夜に。


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