13: ◆FLVUV.9phY[sage]
2014/12/06(土) 16:42:28.16 ID:x2ueaAjJo
伏し目がちに長い髪をなびかせる少女は黒のタイツに包まれた足を持ち上げて進む。
自然と店内の野郎共の視線を集めているとも気づかずに。
手にしたトレイには三人分の飲料と、二箱のアップルパイ。
別段味が良いというわけではないが、何も無いよりはいいかと思案した結果の賜物だった。
紙の入れ物に収められたリンゴのパイを眺めて少女は追想する、
こんなものよりもあの先輩が作ってくれた物の方が格別においしいはずなのに。
追想の名前は二律背反、ささやかな幸せと大いなる決断。両天秤は常に傾いている。
「お待たせ、オレンジジュースとコーラよね。あとこれ、落ち着くかもしれないから、食べて」
飲み物と食べ物を二人に差し出す。
目いっぱいに涙を浮かべた少女は小さな声で呟く。
「ありがとう」
小さく洟を啜る音が鳴る。
「あぁ、えーっと、暁美さん? その勘違いで突っかかっちゃったみたいで、ごめん」
「気にしないで、もし私が同じ状況に置かれたとしたら似たような態度を取ったでしょうから。
それに、詳しい事情が分からないのは私も似たようなものだし。それから、ほむらでいいわ」
手元に残ったコーヒーをストロー越しに吸い上げる。
口の中に広がった苦味は理解不能な現実を現しているという錯覚を覚えさせてくる。
「それで、まどか。なんかよく分かんないんだけど、話してくれる?」
「う、うん。あのね、――――、」
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