過去ログ - ほむら「向日葵と傷」
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17: ◆FLVUV.9phY[sage]
2014/12/06(土) 16:47:29.37 ID:x2ueaAjJo

「例えそれが一般人を危険に晒すことになったとしても?」

「可能性を持っている時点で一般人とは言えないと思うわよ?」

「それはつまり、昨日のあれは冗談や酔狂なんかじゃなかった、と?」

「当然じゃない、伊達や酔狂で人を殺してしまえるほど狂ってしまった覚えはないもの」

 感情が揺らめく。暁美ほむらという小さな器から歪みが溢れる。

「つまりあなたは、鹿目まどかを素面で大真面目に『殺そうと』したわけね」

「あぁ、あの子まどかちゃんっていうんだ。教えてくれてありがとう。
あの子がキュゥべえに見つかってしまったらきっと大変だと思うの。
なんで同じ中学に通っていたのに今まで気がつかなかったのかしらね。

不思議に思わない? 
あんなにとんでもない資質を秘めてるのに」

「私からすれば今のあなたの方がよっぽど不思議よ。いつからそんなに歪んでしまったの?」

 対峙した二つの影は互いに向かって何かを掲げる。

「ねぇ、止めましょうよ。こんなところで何かあったら学校に通い辛くなるじゃない」

「あなたが彼女の命を狙わないというのなら、私も手出しはしない」

「分かってないわね。放課後に遊んであげるって言ってるのよ♪」

 意外なことに彼女が初めて見せた表情は笑みだった。
 あまりに獰猛なその笑みは幾多の修羅場を乗り越えてきた遡行者すら圧倒し、捩じ伏せる。
 絶対的な恐怖がその場を支配し、呼応するかのように雲の切れ端が陽を覆い隠して影を作り出す。

 ぼんやりと、不気味なほどに圧倒的な静寂が場を占拠していく。
 一粒の雫がコンクリートを濡らすと、雲が過ぎ行き光が戻る。

「じゃあ、またそのうちに、ね?」

 壮絶な笑みを湛えた少女はすれ違う。
 音を立てて扉が閉まると残された少女は力なくその場にへたり込んだ。

(アレは、私の敵だ……)

 濁濁と流れる脂汗とは裏腹に彼女は覚悟を決める。

 殺戮者と敵対する覚悟を。



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