83: ◆FLVUV.9phY[saga]
2014/12/06(土) 19:23:52.54 ID:x2ueaAjJo
キリカが真っ先に前へと飛び出す。少し遅れてほむらが追従する。
マミはその場に残り静かに目を閉じる。
それを守護するかのように水晶球を浮かべた織莉子が前に立ち、構える。
魔法少女たちの動きを察知したのか、ワルプルギスの夜は歯車の回転速度を上げる。
その姿はまるで『かかってこい』とでも挑発するかのようだ。
ワルプルギスと、キリカほむらの距離は目測四十メートル。
魔法少女の速力を以てすれば四秒以内に到達する。だが、それは障害物がなければの話だ。
正面から飛来する四体の人型の使い魔。
影法師のように黒塗りの姿は奇妙な親近感と不気味さを同時に突きつけてくる。
統一されているようでてんでバラバラに動き回るその影たちは無軌道な挙動ののち一斉にキリカへと襲い掛かる。
黒い爪を大きく展開してその全てを切り裂こうとキリカは動く。
「跳びなさい!」
ほむらが叫び、ズシリと響く金属音と銃撃音がかき鳴らされる。
直後、キリカの体が跳躍によって大きく宙を舞い、弾丸の嵐が使い魔たちをハチの巣にする。
ほむらはごく短い時間で装填されていたすべての弾丸を打ち尽くしたミニガンをそのまま足もとに捨て置き、泥に埋まった両膝を引き抜く。
魔力での身体強化と機械操作の魔法を使っているとはいえ無茶苦茶な反動を全て殺しきることは難しく、大きく息を吐き出す。
加えて今のを使い切ったことで大きな武装は全て使い果たしたことになる。
もはやワルプルギスの夜相手に有効な武装は何一つない、ただ一つ彼女の固有魔法を除いては。
そしてそれが使えなくなるのも時間の問題だった。
右手を時計型の盾の中へと突っ込み、自前のショートバレルショットガンを取り出して、距離の開いたキリカの背中を望む。
彼女にはこの後にもやることがある。鹿目まどかを守るためになんとしても生き延びる必要がある。
「とりあえず、このラインは死守させてもらうわ」
銃を持ったままの右手で大胆不敵に髪をかき上げた。
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