2: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/12/08(月) 05:02:49.42 ID:LDvEDIsh0
「あ、あずささん!? どうして事務所に? 直帰でいいって言ったはずじゃ……」
駆け寄ってきたのは律子さんだった。
昼過ぎに私をテレビ局へ送ったあと、ずっとここにいたのだろうか。
3: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/12/08(月) 05:03:54.03 ID:LDvEDIsh0
背越しに律子さんの声を聞きながら事務所の奥へ足を運ぶ。
律子さんのデスクには、栄養剤やコンビニのパン類などの袋が乱雑に端へ寄せられていた。
栄養剤の量的に、ここ二、三日の量ではない。
4: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/12/08(月) 05:04:59.95 ID:LDvEDIsh0
「前から思っていたんです。私達が帰った後も、律子さんはお仕事しているんじゃないかって。ちゃんとお休みできてないんじゃないかって。無理、してるんじゃないかって」
律子さんは声を出さず、目を逸らしている。
5: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/12/08(月) 05:06:50.25 ID:LDvEDIsh0
「どうしてそんなにまで……」
暫くの沈黙の後、律子さんは一度だけため息をついた後、観念したように話し始めた。
6: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/12/08(月) 05:07:38.38 ID:LDvEDIsh0
「今まさに竜宮小町は正念場です。ここらで大きな仕事を取って成功させなければ、皆に先はない。これはそういうプロジェクトなんです」
自分が与するユニットに込められた意味。
そこに所属する重要性。
7: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/12/08(月) 05:09:01.41 ID:LDvEDIsh0
「全部が全部嘘ではないですが、そこまで重い使命を与えたりはしません。少なくとも竜宮がダメで潰れたりはしませんよ、安心してください」
どうやらそこまで深刻な状態ではないようでほっとひと安心した。
8: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/12/08(月) 05:11:48.29 ID:LDvEDIsh0
「私は、ただ、怖いんです」
「怖い……?」
9: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/12/08(月) 05:12:40.08 ID:LDvEDIsh0
「だから私は、こうやって仕事に逃げてちょっとでも恐怖から目を背けたかったんです」
「そうだったんですか……」
10: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/12/08(月) 05:13:29.46 ID:LDvEDIsh0
そう、私達は4人で竜宮小町。
不安で、怖くなったら、私達を頼って欲しい。
何も言われず、ただ一人で恐怖から逃れようとするのではなく、仲間を信じて欲しい。
それだけなのだ。
11: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/12/08(月) 05:14:22.00 ID:LDvEDIsh0
「そうです。竜宮小町は律子さんの作ったユニットなんですよ? 私達を信じることは、自分自身を信じるって事になりませんか?」
私達は律子さんを信じている。
律子さんなら、私達をちゃんとプロデュースしてくれると。
12: ◆sIPDGEqLDE[saga]
2014/12/08(月) 05:15:59.27 ID:LDvEDIsh0
「私は、伊織ちゃんと、亜美ちゃんと、律子さんを信じています。そんな仲間に囲まれている自分を、信じています。きっと、他の二人も」
顔を見ないまま、なるべく優しい口調で語りかける。
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