過去ログ - 京太郎「扉のこちら側」
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19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/12/14(日) 00:57:40.81 ID:QcmbvjXlo



店長が空のカップと共に奥に下がるのを横目に

京太郎は置かれた柱時計で時間を確認する



態々今日この店を貸し切ったのはなにも

一年間の労をねぎらってパーティーを開くためではない

相も変わらず人と会うためであり

そろそろ約束の時間も迫ってきているのだが

肝心の相手の方が姿を見せる気配がない



10年越しに顔を合わせた弘世菫と違い

今度の待ち合わせ相手はここ数年で頻繁に顔を合わせ

苦楽を共にしている仲――


京太郎「(……苦労してるの、俺だけじゃないかな)」


兎に角、少なくとも店員の二人よりは見知っているから

心配などは特にしていないのだが




「ごっめーん! 遅れちゃった」




待ち合わせ時間が過ぎてから数分後

高価そうなコートを羽織った女性が慌ただしく入ってくる

彼女の後ろにはカメラなどの、素人でも撮影用だと分かる機材を

脇に抱えた男たちが数人追従して店内に入った


「いらっしゃいませ」


「お、元気そうねー」


「それはもう元気モリモリっすよ」


ゾロゾロと連れ立って入って来た一団の先頭

見事な栗色の髪を無造作に伸ばし

しかしそれを上品に見せる色気を備えた女性は

何の躊躇いもなく京太郎の前に座ると

後ろで控えていた男たちにも座るよう声をかけた





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