63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:30:49.41 ID:DL0z8tZuo
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結露した窓の表面をなぞると、指が冷たく濡れた。
露が剥がれたその下に暗い路が覗いている。
細かい雪が落ちては溶け、爬虫類の肌のようにアスファルトが青く光った。
二月下旬の午後五時。一時期に比べると、日の入りの時刻も遅くなりつつある。
今日のように、レッスンが終わってからも太陽が居残っていることが多くなった。
「今年の雪は、これで終わるといいんだけど」
運転席へ座るプロデューサーさんは寒そうに呟くのだけれど、車内はエアコンがきいていて快適だ。
彼はきっと外を見ているだけで寒いんだろうな、とつい笑ってしまう。
「どうしたの、佐久間さん」
「いえ、早く春になればいいな、って」
「そうだなぁ」
正面の信号が赤く灯り、車はゆっくりと止まった。
プロデューサーさんはカーラジオのスイッチを入れ、ちょうど流れてきた曲に声を上げた。
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