過去ログ - 【モバマス】「橘ありすの十四日間戦争」【橘ありす×市原仁奈】
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4:名無しNIPPER[saga]
2014/12/24(水) 22:45:39.99 ID:YqYwLBdl0
「その先は俺から話そう」

 桃華の視線が、震える私の足へと向く前に、プロデューサーが割り込んできました。

「ありすが来る前に、担当医師を交えて桃華と話した。残念だが、クリスマスイベントに桃華は不参加だ」

 プロデューサーの重い声が、私からも、桃華からも、反論の言葉を奪うみたいでした。

 かつて、桃華は、アイドルとは何か、という彼女なりの答えを教えてくれました。

 冬の日に、ひとりきりで歌い続けた桃華こそが、私をアイドルにしてくれたんです。

 おっかなびっくり、その背中を追い続けて、何とか走り抜けた日々だったんです。

 桃華のいない、ライブイベントなんて……私には。

「……それで、どうなるんですか」

 喉元まで出かかっていた言葉を、押し戻します。

 それを口にしたら、二度と桃華の隣には、立てないと思ったからです。

「代役を立てる」

「……誰なんです」

 プロデューサーが言うより早く、桃華のお腹にかかっていた布団が、不自然に動きました。

 布団が勝手にめくり上がり、イヌの着ぐるみを着た、小さな女の子が、姿を見せました。

 今の今まで寝ていたんでしょう、赤く腫らした目を眠たげにこすりながら、桃華の細い体をぎゅっと抱き締めました。

「桃華おねーさん、どこも痛くねーですか? 仁奈は心配でたまらねーでございます……。どこにも行きやがらないで欲しいですよ……」

 心がざわりと波立ちます。

「紹介する。市原仁奈だ」

 仁奈さんはひどく不安そうな目をしていました。

 私と目が合った瞬間、彼女は桃華の背中に回した手に力を込めます。

「桃華おねーさん……」

 苦笑した桃華が、仁奈さんの頭をなでましたが、その表情はこわばったままです。

「察しの通り、仁奈が、桃華の代役だ。ありす、頼むぞ」

 プロデューサーの声に、私はかろうじて頷きました。

 はっきり言います。

 私は……子どもが苦手です。

 自分も子どもなのに?

 だから、なのだと思います。

 昔の自分を思い出すから。

 自分がまだ子どもなんだって、思い知らされるから。

 ……ばかみたい。


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