1:名無しNIPPER[saga]
2014/12/26(金) 22:53:25.37 ID:7wAV9mf90
クリスマスが間近に迫ったある日、海美は家までの道を全速力で駆けていました。
「たっだいまー! ねぇ、今からパソコン使ってもいい?」
海美はバタンと大きな音を立てて部屋に入ると、すぐさまリビングにあるパソコンの前へと進みました。
「いいけど、もう少し落ち着きなさい。あんなにバタバタと入ってきて女子力アップをしたいなんて聞いて呆れるわ」
「あはは……。ごめんね、お母さん。嬉しいことがあったから、つい……」
海美は苦笑いを浮かべると、手に持っていた荷物を降ろしに部屋へ行きました。
去年の続きのイメージです
北沢志保「ありのままで」
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2:名無しNIPPER[saga]
2014/12/26(金) 22:58:20.66 ID:7wAV9mf9o
「お菓子、置いておくからね。今日は、そんなに良いことがあったの?」
「ありがとう! それがね、『病院でのクリスマス会に参加してみないか』ってプロデューサーが言ってくれたんだ! 去年は子どもたちとツリーの飾り付けとかしたんだって!」
海美は、座っている回転式のイスから立ち上がると言いました。
3:名無しNIPPER[saga]
2014/12/26(金) 23:02:29.73 ID:7wAV9mf9o
「私、昔からよく『海美を見てると元気が出てくる』と言ってもらえるんです。だから、元気がない人とか、病人の人とかが私を見た瞬間に元気になれるような、そんなアイドルになります。いえ、絶対なってみせます!!」
プロデューサーとの初対面となった面談で抱負を聞かれた海美は、このように答えました。
「でも、私こういうの行ったことないから、大体どんなことしてるのか調べてみたくって」
4:名無しNIPPER[saga]
2014/12/26(金) 23:07:01.01 ID:7wAV9mf9o
ネット上には、スポーツ選手やボランティア団体などたくさんの慰問のレポートがありました。
「あ、この人サンタの衣装着てる!」
海美の目に一枚の写真が留まりました。
5:名無しNIPPER[saga]
2014/12/26(金) 23:12:20.49 ID:7wAV9mf9o
海美は翌日、同じ時間帯にダンスレッスンを受けていた志保と話してみることにしました。
志保は、去年クリスマス会に参加したメンバーのうちの一人でした。
「し〜ほりん、お疲れさま」
6:名無しNIPPER[saga]
2014/12/26(金) 23:20:09.26 ID:7wAV9mf9o
「疲れた時は甘いものを食べれば大丈夫♪」
海美はそう言うと、志保にチョコを渡しました。
志保はお礼を言うとサッと口の中に入れました。
7:名無しNIPPER[sage]
2014/12/26(金) 23:58:52.28 ID:7wAV9mf9o
志保はバッグから一冊のノートを取り出し、去年の様子を記したページを開くと海美に見せました。
「去年は、こんな感じでした」
「これが噂のツリーか〜!」
8:名無しNIPPER[saga]
2014/12/27(土) 00:01:33.62 ID:znvO6ukzo
志保が落ち着くのを待つ間、海美は聞き忘れたことがないか整理していました。
「そうですね……。あっ!」
9:名無しNIPPER[saga]
2014/12/27(土) 00:12:00.80 ID:znvO6ukzo
さあ、その日がいよいよやって来ました。
風花、志保、海美は揃って小児科病棟のプレイルームへと行くことになっていました。
三人ともサンタ服を着て、プレゼントの入った袋を抱えて子どもたちと対面しました。
10:名無しNIPPER[saga]
2014/12/27(土) 00:16:38.10 ID:znvO6ukzo
続いて、志保による読み聞かせの時間です。
子どもたちは、志保を囲むように座りました。
海美と風花は、それぞれ膝に子どもを座らせて聞き入りました。
11:名無しNIPPER[saga]
2014/12/27(土) 00:19:34.98 ID:znvO6ukzo
「あの子、楽しんでくれてたかな?」
「あの俯いていた子ですか?」
「そう、あの子。結局、最後までちゃんと顔を見れなかったんだよね」
12:名無しNIPPER[saga]
2014/12/27(土) 00:22:52.45 ID:znvO6ukzo
「そうだ……、もう少し休憩時間があるから下にある売店に行ってみるのはどうかしら?」
「え!? いいの?」
「ええ、ずっとここにいるだけじゃ退屈でしょう? 志保ちゃんはどうする?」
13:名無しNIPPER[saga]
2014/12/27(土) 00:28:00.90 ID:znvO6ukzo
「こんにちは!」
海美は明るく手を振りながら声を掛けました。
子どもは驚き、母親の後ろに隠れました。
14:名無しNIPPER[saga]
2014/12/27(土) 00:30:08.20 ID:znvO6ukzo
「……あっ!」
海美は瞬時に顔を上げて隣を見ました。
15:名無しNIPPER[saga]
2014/12/27(土) 00:32:23.23 ID:znvO6ukzo
「え!? 私たちのこと、知ってくれてたの!?」
四人は一緒にエレベータ―に乗ると、がらんとしたプレイルームで話をしました。
「この子、765プロさんのファンなんです。ねっ?」
16:名無しNIPPER[saga]
2014/12/27(土) 00:34:45.76 ID:znvO6ukzo
四人で窓際まで移動すると、子どもが二人を見上げました。
「あの、ね……」
「なあに?」
17:名無しNIPPER[saga]
2014/12/27(土) 00:37:23.98 ID:znvO6ukzo
親子と別れると、志保はちらちらと海美の方を見ました。
「あはは……、やっぱり、まずかったかな……」
「分かりません。でも、驚きました」
18:名無しNIPPER[saga]
2014/12/27(土) 00:41:44.44 ID:znvO6ukzo
お正月公演もひと段落し、一月中旬になりました。
「海美ちゃん、お疲れさま」
「あっ! 風花ちゃん。お疲れ! どうしたの?」
19:名無しNIPPER[saga]
2014/12/27(土) 00:45:58.04 ID:znvO6ukzo
「あ、年末体調崩しちゃってたんだ……。あの頃本当に寒かったもんなー」
「でも、最近は以前にも増して精力的にリハビリに取り組むようになりましたって」
「ふふっ、良かった……」
20:名無しNIPPER[saga]
2014/12/27(土) 00:51:21.47 ID:znvO6ukzo
おしまい
ありがとうございました
21:名無しNIPPER[sage]
2014/12/27(土) 00:54:51.59 ID:7JC0RPjpo
乙乙
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