10: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2014/12/27(土) 17:15:22.32 ID:bTDiL5Hz0
「怖いな」と、特別棟四階の端、神山高校の辺境、地学準備室で俺の隣に座った里志はそう言った。
里志は口ではそう言っているものの、表情はにこやかだ。まさか自分が被害者になるわけがないというような。
それはある種一般的な反応だ。俺だってまさか矛先が自分に向くとは思っていない。
「ふくちゃん」
伊原がその表情を窘める。里志はそれを受けて「いや、違うんだよ」と必死に訂正した
「ちょうど切り裂きジャックについて読んでるところで」
云々。大方読んでいる本と似通っているところがあったから、思い出してしまっただけなのだろう。こいつはそういうやつだ。
「高校生なんか狙ったって、たかが知れてるだろうに」
「そうかな。質より量かもしれない」
懲りない奴だった。
「食べるもの決めるのとはわけが違うんだぞ」
「ま、そのとおりだね」
両手をひらひらさせて里志は応えた。伊原は席について腕組みをしている。気にすることはない、いつもどおりだ。
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