381: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:48:17.16 ID:bd0uItio0
魔王「しかし、そうは上手くはいかなかった。彼がまだ生きていると知った天使たちが、彼を始末するために僕たちを襲ったんだ」
魔王「きっとその中に、君を襲った二人組もいたんだろう。ナツァルは僕を足手まといになると洞窟に閉じ込め、一人で戦いに出た……数十人という天使の軍勢を相手に」
天使「兄は神から危険視されていた身。地上で目立たずに始末する限界まで絞った人数だったのでしょう。本来なら兄はその程度の人数に負けるハズが無い」
382: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:49:04.28 ID:bd0uItio0
魔王「……彼が死んだという事実を、僕は受け止める事が出来なかった。だから僕は……禁忌を犯した」
天使「禁忌……?」
魔王「完全に魂が天に還る前に、僕は契約魔法と呼ばれる魔法で彼の魂を無理矢理肉体から引き剥がした」
383: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:50:17.25 ID:bd0uItio0
天使「それはどういう……?」
魔王「……話を続けよう。身体が馴染むまでの期間、また二人でリハビリも兼ねて旅をしていた」
魔王「この頃になると、僕も魔法で今のような人の姿に変身して、迫害を受ける事もなくなった」
384: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:51:08.03 ID:bd0uItio0
魔王「彼らは地上の、その時代の勇者を裏で操り、僕たちを陥れようとした。危うくお互いを信じられずに同士討ちをするところだった」
魔王「彼と僕は戦う事を決意し、彼らに挑むことにした。だが、それすらも計算の内だった」
魔王「本当に裏で操っていたのは、かつて彼を殺した天使たちだった」
385: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:51:51.61 ID:bd0uItio0
魔王「これが、僕たちが辿った地上での出来事だ。結局、僕は友人を救う事も守ることも……約束を果たす事も出来なかった」
天使「兄さんは……貴方を守る為に……死んだのですね……」
魔王「彼は生きている!!」
386: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:52:34.96 ID:bd0uItio0
天使「泣かないでください……魔王様」
魔王「……」
天使「兄は立派に戦い……貴方を守ったのです。それが分かっただけでも、私は救われました」
387: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:53:03.06 ID:bd0uItio0
天使「兄の事は感謝します。ありがとうございます、最後まで傍に居てあげてくれて」
魔王「救われたのは僕の方だ……」
天使「そして、魔王様。私に話したかった事は、それだけですか?でしたら私はこのまま貴方の目の前から消えます」
388: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:53:31.31 ID:bd0uItio0
魔王「うん、それじゃあ今度は僕の事の話」
天使「魔王様のですか?」
魔王「君にちょっと肩入れし過ぎているって前にオーク君に言われてね。それの原因を話そうかと思って」
389: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:54:21.31 ID:bd0uItio0
魔王「戦争の人手が足りなくなって、解放された僕も戦地へ駆り出されることになって、ナツァルを嵌めたあの二人の同族が僕と彼女を使って一旗上げようとしていたんだ」
魔王「でも、僕は完全な私怨で後ろから彼らを殺害。完全に両親の操り人形だったセピアは彼らが死んだ時点で沈黙した」
魔王「あの時の僕には彼女がとても可哀想に見えたんだ。生み出されたその命は自由を知ることなく誰かに縛られて……」
390: ◆cZ/h8axXSU[saga]
2015/01/01(木) 22:55:09.12 ID:bd0uItio0
魔王「彼女をそのままにしておくには僕にもリスクが高すぎた。僕より体は大きいし、連れて歩くには適さない、また誰かに奪われて利用されるかもしれない」
魔王「だから、魔界に迷い込んできた人間の非力な少女の姿に似せて、彼女の身体を魔法で変化させることにした。本来の強さを抑える目的も兼ねてね」
魔王「結果はまぁ……色々失敗だったのだけれど」
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