過去ログ - キョン「ペルソナ!」 アイギス「FESであります!」
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215:名無しNIPPER[saga]
2015/01/01(木) 21:02:09.58 ID:t8V4LTxho


「最初に、この塔に来たのは、いつだったかしら。もう、随分ここに居るから、どれぐらい前だかわからなくなっちゃったわ」


漆黒のカーテンに開けられた巨大な穴のような満月が、冷たい大気に満ちた、モナドの塔の屋上を、青白く照らしている。その月光を背負うようにして、涼宮ハルヒが、俺たちの前に立ちふさがっていた。
幼い子どもに、物語を読み聞かせるような、柔らかく、慈愛に満ちた声で、ハルヒは言った。

「影時間に、初めて気付いた日。私は、どうして良いか分からなくて、まず、真っ先に、学校を目指したの。あの日の夢のように、学校に行けば、全てが元に戻るかもしれないと思って」

逆光の所為で、ハルヒがどんな表情を浮かべているか、いまいち読み取ることが出来ない。俯いたその顔は、泣いているようにも、笑っているようにも見えた。
解読不可能の表情のまま、ハルヒは次々と言葉を紡ぐ。

「そこでね、『あいつ』に会ったのよ。あいつは、私に全てを教えてくれたわ。私の持つ力のことも、この影時間の正体も。私が望めば、手に入らない物なんてこの世にはない。『あいつ』はそれを教えてくれたの」

俯いていたハルヒが、ゆらりと面を上げ、俺たちを見た。
―――笑っている。

「でもね。私は未熟だから、その力を使いこなすことが出来ない。私が本当に全てを手に入れるには、私は強くならなきゃならない。あいつはそうも教えてくれた。私は当然、それを求めたわ。望むもの全てを手にできる存在に、私はなりたかった。
 だから私は、あいつを受け入れたの。一つになったの。そうして、タルタロスが生まれた。あの塔はね、私の心の中の世界。シャドウを倒すことで、私は私の心のもっと奥へと入って行ける。……シャドウを倒す為の力も、あいつが授けてくれた」

そう言うと、ハルヒは、右手をスカートのポケットへと挿し込み、そこから、一枚のペルソナカードを取り出した。

「心が開けるたびに、私の力は強くなった。ペルソナも増えていったわ。私は毎日毎日、影時間が来るたび、タルタロスに来た。上の連中なんかつまらないから、私はずっとモナドに居たわ。
 それは誰にも知られない、私だけの時間だった。でも、そこに何故か―――あんたが入り込んできた」

そこまで話した後、ハルヒの、温度のない瞳が、俺の顔面へと向けられる。

「あんたたちが、私の邪魔をしに来たんだと思って、どうしてくれようかと思ったんだけど。でも、どうやらあんたたちは、シャドウたちを倒して、私が力を手に入れて行くのを、手伝ってくれてるみたいだった。
 だから、私はずっとモナドに身を潜めて、あんたたちが、全てのシャドウを倒してくれるのを待ってたの。もう面倒だったから、影時間の外に出るのも、やめちゃったわ。そうしたいと思ったら、できちゃったのよ」


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