2:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:18:53.85 ID:KvG+T8iK0
「おい、橙子いるか」
「んー、なんだ式か。今日は休みだぞ」
背もたれのある椅子に座りながら、橙子は机の上の整理をしていた。
背もたれには、橙子のオレンジ色のコートが掛かっている。
どうやら年末の大掃除という物らしいが、あの量じゃ今日中に終わることは無いだろう。
「俺に仕事を最近回してないくせによく言うよ」
私は無駄に幾つものテレビが置いてある前のソファに、腰を下ろした。
相変わらず無駄な位にテレビが並んでいる。どうせ橙子がジャミングするのが面倒なので買ったんだろうと私は推測している。
ソファに横になり首を橙子の方へと向けた。もちろん抗議の顔を見せるためだ。
「仕方ないだろう。最近は物騒な仕事が出てこないんだ。お前には仕事が回ってこないが、黒桐なんか猫の手も借りたいぐらいだったじゃないか」
「今月なんか仕事したの一回だったぞ俺。それも橙子の雑用だったし。来年はもっと仕事よこせ」
「わかった。善処しよう。ところで、お前なんでここに来たんだ? 今日ぐらい家に居てもいいだろう」
目を閉じて肩を竦めて、おどけた様に言った。その後に胸ポケットから煙草を一本と百円ライターを取り出し、火をつけた。
橙子は口にそれを加え、しばらくの間は煙を肺に回していた。
火がついた煙草の先は紫煙をゆらゆらと立たせながら、点滅信号の様に紅く仄かに光っていた。
15Res/10.98 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。