過去ログ - 陣内崎市の戦略核 -SS速報VIP

過去ログ - 陣内崎市の戦略核

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2: ◆yufVJNsZ3s[sage]
2015/01/04(日) 16:50:10.10 ID:eXRePjzh0

　北海道の西、かつては札幌と呼ばれていた大都市も、いまや陣内崎と名を変え、かつての面影は既にない。悪鬼羅刹のはびこる魔都において、二年前、彼女は十五歳という若さで探偵事務所を開設したやり手だ。
　十五歳――そう、十五歳である。世が世なら女子高生探偵というセンセーショナルな看板を掲げていてもおかしくはない。

　太く編んだ三つ編みに太いフレームの眼鏡をかけ、大きくくりくりとした瞳は印象的だ。太めの眉が、精悍な印象すら与える。

以下略

3: ◆yufVJNsZ3s[sage]
2015/01/04(日) 16:51:00.04 ID:eXRePjzh0

「おま、折角の俺のハードボイルド気分をだなぁ……」

「そんなちぃとも腹の足しにならないものは、犬に食わせちまえばいいんですよ。
　とにかく、あなたの雇用主はわたしです。ルールを守れないなら解雇です、解雇！」

以下略

4: ◆yufVJNsZ3s[sage]
2015/01/04(日) 16:52:09.20 ID:eXRePjzh0

「今日の予定は？」

　尋ねられて、俺はメモ帳へと目を落とす。稀有のボディガード兼秘書が俺の役割なのだった。

以下略

5: ◆yufVJNsZ3s[sage]
2015/01/04(日) 16:52:36.89 ID:eXRePjzh0

　稀有は笑った。どうにも恥ずかしくなって、トレンチコートを羽織ながら足早に事務所の扉から出て行く。

「電車で行くか、タクシー拾うか」

以下略

6: ◆yufVJNsZ3s[sage]
2015/01/04(日) 16:53:41.17 ID:eXRePjzh0

「お待ちしておりやした」

　所内に入った俺たちをすぐに出迎えたのは、捜査一課のボスである南原真南課長。刑事と聞いてすぐに思い浮かべるとおりの強面で、白髪交じりの短髪はいつも丁寧に同じ長さに揃えられている。
　責任感が強く俺たちの――というより稀有のことも丁重に扱ってくれるが、ネクタイのセンスが悪いことだけが珠に瑕だった。

以下略

7: ◆yufVJNsZ3s[sage]
2015/01/04(日) 16:54:26.18 ID:eXRePjzh0

「いや、あれでも結構変わったほうだ」

　真南はぼそりと言った。稀有との付き合いは真南のほうが長い。こいつが言うのならばそうなのだろう。

以下略

8: ◆yufVJNsZ3s[sage]
2015/01/04(日) 16:55:09.40 ID:eXRePjzh0

　踵を返して部屋を出て行く。
　毎度のことなので慌てはしない。俺も、真南も、心苦しそうな顔をきっとしていることだろう。そういった感情を全て飲み込んで、俺は稀有の後へと続いた。
　背後で真南が敬礼をしているのが見えた。

以下略

9: ◆yufVJNsZ3s[sage]
2015/01/04(日) 16:58:00.72 ID:eXRePjzh0

「遅いですよ。パーティの準備しましょうよ」

「……あぁ」

以下略

10: ◆yufVJNsZ3s[sage]
2015/01/04(日) 16:58:51.72 ID:eXRePjzh0

　中には危険を承知で栗を拾おうとする物好きもいるが、そんな人間は山師と代わらない。もしくは油田を、黄金郷を探しているに近しい。

　俺は陣内崎に来ておおよそ半年。対して稀有は二年以上を過ごしている。当然街については彼女のほうがずっと詳しいので、俺にできることといえば荷物持ちと、周囲の気配に慎重になるくらい。
　どちらかといえばお目当ては裏路地のようだった。浮浪者がダンボールの上で横になり、中身のなくなったビール瓶の口を舐めている。フードとマスクで顔を隠した男の姿も多い。銃を忍ばせているやつだって、すれ違っただけで三人はいた。

以下略

11: ◆yufVJNsZ3s[sage]
2015/01/04(日) 16:59:29.66 ID:eXRePjzh0

「あ、あそこです。お目当ての場所」

　稀有が指差した場所は雑居ビルの一階で、恐らくは通用口と思しき扉に、大きく「モノクロ屋」と書かれていた。
　……怪しすぎる。

以下略

12: ◆yufVJNsZ3s[sage]
2015/01/04(日) 17:00:15.65 ID:eXRePjzh0

「なんだこれ」

「ここは陣内崎ですし」

以下略

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