102: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/02/27(金) 00:12:37.45 ID:jdn1l7cc0
「分からないので?……自分の作った鍋なのに?」
「ああ、おれには興味が無くてね……殺したトタンに、今までの恨み辛みも一切合切全部、シッチャカメッチャカになっちまったんでね」
妾の足が震えます。
103: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/02/27(金) 00:14:55.09 ID:jdn1l7cc0
「こいつはおれを馬鹿にしたんだよ」
男が言います。
妾にでは無く虚空に向かって喋っているようです。
104: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/02/27(金) 00:17:21.27 ID:jdn1l7cc0
「本当に……意地の悪い奴だったのさ。こんな悪童、おれは生まれてこの方見たこと無いね」
「ソ、ソレは……ソウなのですか」
「人の悪い所を押し固めて煮凝りにしたヨウな男さ。見目麗しい容姿をしていたかもしれないがね、内面は黒い泥沼が広がっているヨウな男だったのサ。つまりコレは、ソイツにとっての地獄なのサ……アハハ……アハアハアハアハ……」
105: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/02/27(金) 00:20:07.66 ID:jdn1l7cc0
「これを胃袋に収めた所でね、コイツの地獄はおれの腹の中で完成するのさ」
男は大きな椀を取りい出すと、鍋の中身をドンドン入れました。
「所で……腹が減っているんだろう?」
106: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/02/27(金) 00:23:54.16 ID:jdn1l7cc0
「いいえ……イイエ……妾はモウ、空いておりませんので……」
「遠慮する事は無いさ。何せおれは今、気分がいいんでね」
「お願いします、どうか、ドウカ……妾はキット、誰にも告げや致しませんので……」
107: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/02/27(金) 00:26:11.35 ID:jdn1l7cc0
「お前の腹の中にもネ……飛び切りの地獄を作ってやると良い」
妾は椀を押し付けられて、
今度こそ、叫び声を上げました。
108: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/02/27(金) 00:27:36.27 ID:jdn1l7cc0
椀の中にあったのは……チイちゃんの生首だったのです。
それが、妾をシッカリと見つめ、ニタリ……と笑うものですから……。
とうとう妾は、可怪しくなってしまいました。
109:名無しNIPPER[sage]
2015/03/05(木) 06:12:28.41 ID:YcRsJ/4xo
乙乙
110:名無しNIPPER[sage]
2015/03/05(木) 22:41:35.91 ID:akahhZ6+o
おおぅ
111: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/03/21(土) 21:41:53.87 ID:YCokVBHJ0
5
意識を手放した妾は、暗いくらい闇の中へ、ドコドコと堕ちていきました。
頭の中では、チイちゃんの可愛らしい顔が……悪魔のような笑顔が……グルグルと渦巻いておりました。
妾の世界はトックの昔に、胃袋に在った鼈甲飴のように、溶け去ってしまっていたのでしょう。
112: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/03/21(土) 21:44:23.60 ID:YCokVBHJ0
チイちゃん、オオ、チイちゃん。チイちゃん……。
ばけもののヨウに図体ばかりがでかい妾ナンゾと違って、小さくて可愛らしく、それでいて艷やかで、優しく、美しい……。
そんな彼女が、どうして……鍋で煮込まれ、美味そうな匂いを漂わせ、胃袋の地獄へと送られなければならないのでしょう。
彼女は妾とは違うはずです。人から恨みを買うなんて、そんな……そんな大それた事をしでかす女性では決して無いのです。
恐ろしい……どうして、彼女は殺されなければならなかったのでしょう。
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