過去ログ - あやかしの地獄
1- 20
26: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 02:15:17.86 ID:RN7L+xaq0
「アア。本当に美味しい飴だったなァ」

「エエ……エエ、トッテモ……」

「しかし、まァ、ナニ……飴の一つや二つでは、この空腹は満たせないと思わないかね」
以下略



27: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 02:18:37.42 ID:RN7L+xaq0
「そうですか。妾は……モウ、お腹はイッパイで……」

「そう思うかい?」

「エッ……エエ、ハァ……」
以下略



28: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 02:21:46.27 ID:RN7L+xaq0

「……食べれば良いかと、思いますが……もっと、大きなモノを……」



29: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 02:23:10.80 ID:RN7L+xaq0
振り返ると、目の前に歯がありました。
生暖かい息が、顔に当たりました。


30: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 02:24:10.53 ID:RN7L+xaq0
叫び声があがりました。
妾は尻もちをつき、その拍子に歯から逃げる事が出来ました。
がちんと鼻先で口が閉じます。
その時になってヤット、叫び声が自分の口から出ている事に気付きました。


31: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 02:25:46.65 ID:RN7L+xaq0
妾はモウ無我夢中で、暗い路地を走り出しました。
チイちゃんの細く長い指が、妾の髪を絡め取ります。
しかし妾は頭を振ると、髪の毛を根本から千切ってしまいました。


32: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 02:27:37.45 ID:RN7L+xaq0
チイちゃんは指に絡みついた妾の髪の毛を、
舌でねぶり取り、味わうように噛み締めました。
プチン、プチンという音が聞こえます。
しばらくそうしていたかと思うと、ゴクリと喉を鳴らすのです。

以下略



33: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 02:30:01.86 ID:RN7L+xaq0
妾はモウ必死でした。
チイちゃんの耳まで裂けた大きな口から逃れようと、一足飛びに逃げのきました。
死に物狂いで曲がりくねった道を駆け抜けました。
自分でもモウ、何処をドウ走ったか覚えておりません。
ただ、後ろからいつまでも、いつまでも……チイちゃんの笑い声と歯の鳴る音が追いかけてきた事だけは記憶しております。


34: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 02:32:50.54 ID:RN7L+xaq0
チンドン、チンドン、チンドンドン……。

荒い息をしいしい、妾が立ち止まった所です。
ちんどん屋の鳴り物が、すぐ近くで聞こえました。


35: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 02:34:12.27 ID:RN7L+xaq0
妾は訳も分からぬマンマに、途方も無い距離を走っていたようでした。
もうチイちゃんの姿は見えません。
ホウ、と一息ついたのと同時に、妾は友達を一人失った事に気付きました。


36: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/01/06(火) 02:36:14.81 ID:RN7L+xaq0
温かい涙が流れ出ます。
チイちゃんはもう、人では無かったのです。
優しくて、可愛らしく、クラクラとするような色気を放つ、魅力溢れる彼女は……。
モウ、人では無いナニカに堕ちてしまったのです。


133Res/53.47 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice