過去ログ - あやかしの地獄
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72:名無しNIPPER[sage]
2015/01/18(日) 06:06:14.49 ID:DsU91kcqo
なんとも面妖な話だねぇ


73:名無しNIPPER[sage]
2015/01/18(日) 07:07:56.56 ID:wcNFlaFT0
怖いな……
うん


74:名無しNIPPER[sage]
2015/01/20(火) 07:16:52.58 ID:g4rRPRjZ0
夢野久作っぽい


75:名無しNIPPER[sage]
2015/01/30(金) 18:28:13.58 ID:uF3dyUmC0



76: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/02/07(土) 00:14:14.21 ID:EyJ2ILMk0
3

……お気分を悪くされましたら、どうか遠慮なさらず仰って下さい。
妾ナンゾは……あの、耳を劈くような声を思い出すだけで……胸が苦しくて、苦しくて……。


77: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/02/07(土) 00:17:44.63 ID:EyJ2ILMk0
エエ、エエ……申し訳ございません、ドウモ……。
本当に……恐ろしいものでした。なんとも信じがたい……エエ……。
それと同時に、ナンとも突拍子の無い……可笑しな話じゃないですか。

痘痕がギョロリと目をヒン剥いて、一人前の男として語りかけてくるなんて……。
以下略



78: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/02/07(土) 00:20:25.62 ID:EyJ2ILMk0
痛む頭をおさえおさえ、今の状況を把握しようとしました。
どうやってこんな、臭く汚らしい汚物だらけの場所に来たのか、全くわからないのです。
胸元に手をやりますと、身につけておりますブラウスがシットリと汗で濡れているのが確認出来ました。

ハハア、男の叫び声がアンマリにも恐ろしいものでしたから……気が動転した妾は、訳もわからぬマンマ走りに走って、コンナ場所にまで来てしまったのですね……。
以下略



79: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/02/07(土) 00:22:43.76 ID:EyJ2ILMk0
それにしても、汚らしい所です。
何だかわからない生き物の死体やら、吐瀉物ナンゾと混じって、乞食がそこかしこに座り込んでいます。
その誰もが、窪んだ瞳で女の妾を見つめているのです。

乳母(ばあや)から、都会に出ても、決して黄昏時から脇道へ入ってはいけないよ、と……口を酸っぱくして言われていた事を思い出しました。
以下略



80: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/02/07(土) 00:25:12.19 ID:EyJ2ILMk0
妾は頑として乞食と目を合わさぬようにしながら、足早に進みました。
元来た道を戻りまして、せめて先の繁華街まで戻れれば、と……思ったのですが。
サッパリ道を覚えていない妾には、ドダイ無理な話であったようでして。
クタクタになった足を投げ出し、荒い息を整えながら、額を流るる汗を拭いました時には、トックにお天道様は見えなくなりまして、青白い三日月がぎらぎらと光を放っておりました。


81: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/02/07(土) 00:28:02.09 ID:EyJ2ILMk0
提灯一つ無い路地は、日が沈みますと恐ろしいほど暗く、一寸先も見えないほどです。
衣擦れの音や、何かを踏みしめる音など、人の気配は感じるのですが、肝心の人の姿は見えません。
まるで、あやかしか何かが目蓋の裏を這っているかのようで……気分が悪くなりました。
早くこの場を離れなければ……気持ちは急くのですが、どうにもなりません。
せめて、せめて何かこの暗闇を進むための、標でもあれば……と思った時です。
以下略



82: ◆eUwxvhsdPM[saga]
2015/02/07(土) 00:30:26.49 ID:EyJ2ILMk0
明かりは古い提灯から漏れ出ておりまして、どうやら誰かがそれを点けたようでした。
そして、その継ぎ接ぎだらけの提灯の元には……乞食爺が立っていたのです。
妾はギョッとしましたが、爺は妾の事ナンゾ、知らぬフリです。
歯の抜けた口を歪ませて、楽しそうに……明かりの元でアヤツリ人形を踊らせているのです。


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