過去ログ - キョン「ペルソナァッ!」 クマ「ザ・ゴールデンクマ!」
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72:名無しNIPPER[saga]
2015/01/07(水) 19:16:09.37 ID:CL7Y8+DEo

「そう睨むな。私はただ、お前と話をしに来たのだ」

男は、いつのまにかテーブルの上に置いてあったティーカップを手に取り、す。と、それに口をつけた。ティーカップから漂うコーヒーの匂いが、少し離れた場所にいる俺のところまで届く。
……何だ。今度は一体、何が現れたって言うんだ?カチリ。と音を立て、男はテーブルの上にティーカップを戻す。

「私の見立てに狂いはなかったようだ。お前は私の見込み通り、『キングフロスト』と『マーラ』を倒す程の力を見せた」

キングフロストとマーラ。どちらも聞いたことのない単語だ。男の言葉を、俺が理解しようと試みるよりも早く、男は次の言葉を紡ぐ。

「私はお前の力に興味がある。神なるものの絶対的意志へ立ち向かうことのできる、絶対的な再生の力。本来ならば、それはあらゆるニンゲンが持つべき、全てに平等な力だ。しかし、今、世界は中庸であることを見失い始めている。一部の強きものの支配のもとに、ニンゲンはニンゲンであることを見失い始めている」

男の言葉は、ただそこにある大気のように、淡々と、俺のいる空間に降り注ぎ続ける。

「私は常に、ニンゲンの営みを見続けてきた。当然、お前や、お前の知る者たちのことも。……お前は『鍵』だ。神に反旗を翻し、ニンゲンである証明を示し得る希望なのだ。……私もまた、お前の旅の共なのだ」

「鍵……?」

その単語を聞き、俺の中で、ある記憶が首をもたげる。あれは、三か月前、初めて影時間を訪れた時の事だ。階段を降りかけていた俺に、階上から掛けられた、男の声。

「あんたは……もしかして、あの時の?」

「覚えていてくれたようで、光栄だ」

男は笑い、ティーカップに口をつける。

「まだ話したい事はあるが、お前にはまだ、これから立ち向かわなくてはならないものが残ってる。『ベルフェゴール』に、『ゴモリー』、『リリス』に『ルキフグス』、そして『ベリアル』と『ベルゼブブ』……私の眷属たちだ。お前の健闘を祈ろう……『輝く者』よ」

俺が次に瞬きをした瞬間、男は元からそこに存在しなかったかのように、姿を消していた。後に残されたティーカップが、ゆらゆらと湯気を立てている。


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