92: ◆/5u1xsuUH.[saga]
2015/01/13(火) 17:58:12.56 ID:axxMaQjPo
想いというものは伝えようとしても伝わらないものだ。
それは人間も妖狐も変わらない。
言ってしまったことへの後悔、言わなかったことへの後悔。
93: ◆/5u1xsuUH.[saga]
2015/01/13(火) 17:59:06.59 ID:axxMaQjPo
総次郎とは長い付き合いだ。
生まれた時も同じぐらいであり、修業時代からずっと一緒にいる。
幼馴染というやつだ。
94: ◆/5u1xsuUH.[saga]
2015/01/13(火) 17:59:57.18 ID:axxMaQjPo
「きちんと変化できるようになった?」
「ううん、まだだめだね。どうしても尻尾か耳が残っちゃう」
95: ◆/5u1xsuUH.[saga]
2015/01/13(火) 18:00:37.23 ID:axxMaQjPo
あの時の総次郎のちょっとだけ泣きそうで、
ちょっとだけ嬉しそうなそんな笑顔を私は忘れられない。
当時の私は何も知らなかった。
96: ◆/5u1xsuUH.[saga]
2015/01/13(火) 18:01:21.29 ID:axxMaQjPo
しかし、総次郎にはそういった『わかりやすい目安』というものがない。
変化もなかなかできず、尻尾も簡単には増えないため、成長したという証がない。
97: ◆/5u1xsuUH.[saga]
2015/01/13(火) 18:02:14.47 ID:axxMaQjPo
「やあ、何してるんだい?」
「やあ白面ちゃん。今日は母上の代理さ」
98: ◆/5u1xsuUH.[saga]
2015/01/13(火) 18:03:18.26 ID:axxMaQjPo
「あれはそう、僕らの修業時代だよ。お互い名前を教え合って、
ちょっとしたぐらいに変化と尻尾の話をしてたんだ。
お互い変化はうまくいかないし、僕に至っては尻尾も増えないね、って」
99: ◆/5u1xsuUH.[saga]
2015/01/13(火) 18:04:04.06 ID:axxMaQjPo
「あの時は嬉しかったなあ……」
「…………はい?」
100: ◆/5u1xsuUH.[saga]
2015/01/13(火) 18:04:31.29 ID:axxMaQjPo
「あの時が初めてだったんだよ」
「初めて?」
101: ◆/5u1xsuUH.[saga]
2015/01/13(火) 18:05:38.79 ID:axxMaQjPo
え?は?ええ?
名前で?名前で呼んだって?
102: ◆/5u1xsuUH.[saga]
2015/01/13(火) 18:06:34.43 ID:axxMaQjPo
「やっと思い出してくれたのかい。つまり最初の告白は君からだったと言ってもいいね。白ちゃん」
「い、今私のことを白って!でも私も総次郎って……ああ、もうどうすればいいのー!!!」
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