208: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/07/25(土) 22:31:53.21 ID:jFIP2x74o
あたしがソファーに腰を下ろすやいなや、大佐は
「コーヒーは飲むかね?」
と聞いてきた。
こういうとき、コーヒーでも紅茶でも指定して「飲むか」と聞いてくる人は飲んでほしいと思っている人で、
「何か飲むか」と言って来る人はどちらかと言えば出すのが面倒だと思っている人なんだと、昔オメガの隊長がよく言っていたので
「お手数でなければ、いただきます」
とあたしは答えてみる。すると大佐はあたしをチラッと見やって
「宇宙産の銘柄だが、悪くない」
なんて言った。どうやら、あたしの回答は正解だったようだ。
程なくして大佐はマグ三つにコーヒーを淹れてソファにやってきた。どうして三つも…?
そんなことを聞く前に、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。
「入りたまえ」
大佐がそう言うとドアが開いた。そこにいたのは、ポール・○軍曹だった。
「軍曹!どうしてここに!?」
あたしがそう声を上げると、軍曹の代わりにあたしの斜向かいに座った大佐が言った。
「彼も、それから中尉も、我が艦隊の優秀なパイロットだ」
「まぁ、明日からはセシールでお世話になる予定ですがね」
グラナダ艦隊のパイロット…?!彼らが…?!それにセシールで、ってことは…隊長が言ってた補充のパイロットは、軍曹や中尉達、ってこと?
あたしはそれを聞き、ハッとして大佐の顔を見やった。
そうか、大佐がここにあたしを名指しで呼んだ理由って言うのは、もしかして…
「さて、少尉。コロニーでの話を聞かせてくれないかね?事を荒立てるには少しばかり後手に回りすぎたが…
それでも、今後のバスク・オムが同じ行動を起こさぬよう、誰かが情報を一括して管理しておくべきだ」
そんなあたしをジッと見て言った大佐は、戸惑うあたしに柔和な笑顔を見せてさらに続けた。
「安心したまえ。貴官にも、セシールにも迷惑を掛けんと約束しよう。このことは、私、プレックス・フォーラの胸にだけ刻んでおくだけの話だと思ってくれたまえ」
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