207: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/07/25(土) 22:31:24.19 ID:jFIP2x74o
「分かりました。ちょっと行ってきます」
あたしが隊長にそう言ったら、隊長は首を傾げつつ
「頼むぞ。サイド3に行けなかった代わりに、三人パイロットの補充をしてもらったんだ。良い子にしててくれよ」
と言い残して、ドアを閉めて出ていった。
「何なんでしょうね…?不明機を撃墜した件でしょうか?」
イルマがそんなことを聞いてくる。確かにそれはあるかもしれない。何しろあの辺りの宙域はサイド3の駐屯部隊よりはここグラナダ駐屯部隊の哨戒範囲だ。
簡単な事情聴取でもされるんだろうか?いや、でもそれなら隊長に聞いたって良いはずだ。
何しろ報告を入れたのは隊長だし、そこにはあたしの名前なんて乗ってないはず。だとしたら、何なんだろう?
そんなことをグルグル考えそうになって、あたしは辞めた。まぁ、変なことでもないだろう、って、そう感じられたからだった。
「分かんないけど、とりあえず行って来るよ。サブリナちゃんのことお願いね」
あたしはイルマにそう頼んで、それからサブリナちゃんをもう一度撫でながら
「偉い人が呼んでるみたいだから、ちょっと行ってくるね」
と断って部屋を出た。
デッキの方へと向かう廊下を行き、その先の通用口にドッキングされている搬入出用のブリッジを飛んでグラナダの軍施設内へと入る。
警備らしい格好をして暇そうにしている伍長の階級章を付けた兵士がいたので、呼び止めて司令官の部屋を聞いたら、あたしの階級章をチラッと見やってから
「そこのエレベータで第四区画へ向かって下さい。降りたところにも警備がいるので、そこでもう一度問い合わせをお願いします」
と、いやに丁寧な口調で教えてくれた。
あたしはその通りにエレベータに乗って区画を移動し、そこのいた中年の警備兵に事情を説明したら、彼はあたしの名前を確認してから
「伺っています。こちらへ」
とあたしを重厚な扉の前の案内してくれた。
「レスリー軍曹です。アトウッド少尉がいらっしゃっています」
中年の警備兵、レスリーさんが扉の横にあるパネルにそう報告している。するとすぐに
<入ってもらってくれ>
と返答が聞こえたので、軍曹がパネルを操作した。
プシュッっと両開きの扉が音を立てて開く。その先に広がっていたのは青いじゅうたんが敷き詰められ、大きな執務机に書棚なんかの置いてある上等な執務室だった。
その机に腰掛けているのは、やはり中年か、もう少し上に見えるヒゲを蓄えた男性の将校だった。襟元には大佐の階級章が光っている。
「マライア・アトウッド少尉です。ご用命により、出頭しました」
あたしが敬礼をしてそう言うと、大佐は
「あぁ、すまんね」
なんて軽く敬礼をあたしに返してから
「入って、そこに掛けてくれたまえ。少し話を聞きたいことがあるのだ」
と、部屋の隅の方にあったソファーセットをさして言う。あたしは
「はっ。失礼します」
と、隊長の言いつけ通りに良い子を心がけつつ、返答をして床を蹴りソファーまで移動した。
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