過去ログ - 【艦これSS】提督「壊れた艦娘と過ごす日々」04【安価】
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817: ◆oeBS4v7bwY[saga sage]
2015/01/25(日) 02:45:00.06 ID:/iKqaLico

 いっそ目を閉じたままでいられたら。

 何度そう思ったかは分からない。

 それは何も、彼女が死にたいとか、生きていたくないとか、そう言う風に思ったわけではない。

 恐らくそんな大それたものではなく、ただ単に、眠りたい。

 ただそれだけの、ささやかな願いにしかすぎないのだ。

 そしてそれがきっと叶わないとも彼女自身思っていた。

 もしそれが少しでもねだれば叶うものであれば、きっと彼女はそうしている。

 書類を出して通るわけでもない。頭を垂れても通るわけでもない。

 叶えたいから願うのではなく、叶わないから願うのだ。

 どうせ叶わないと分かっているから、せめて心の中で愚痴のように零すのだ。

 現実から一歩でも逃げるように。現実から一歩でも下がるように。

 心だけ一歩下がって、現実で黙々と身体を動かす自分を俯瞰的に見下ろすことで、彼女は何とか心の均整を保っている。

 無理な願いをしていると自分で自分に言い聞かせて、それが無理だと思い込むことで、なんとか生きている。

 もしそれが、本当に叶えたい願いになってしまったら。

 そしてそれがやはり叶わなかったら。

 その時はきっと彼女は壊れてしまうのだろう。

 それを自分でも分かっているからこそ、本気で願わない事にしているのだ。

 
 
 しかしその願いは、思わぬ形で叶うことになる。

 彼女の思いもしない所で。

 彼女の望みもしない形で。


 夏の日の、雨が降り注いだ、あの海で。




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