過去ログ - 【艦これSS】提督「壊れた艦娘と過ごす日々」04【安価】
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◆oeBS4v7bwY
[saga sage]
2015/01/25(日) 23:19:51.39 ID:/iKqaLico
潜水艦と言えど、常に彼女も潜航しているわけではない。
先述した通り彼女の元は通常動力潜水艦であり、その特性を引き継いだのか、息を止めていられる時間もそれ同様なのだった。
彼女の体内が実はディーゼルエンジンで出来ているだとか、着ている水着に蓄電装置が備わっているだとか、そう言う訳では全くなく、あくまで体つきは人間と変わらない。
しかしそれでも生身の人間とは一線を画す潜水能力を持ち合わせていた。
文字通り硬い鉄の塊だった頃に比べたらやや能力は落ちるものの、一日近く海中に潜っていられるのは彼女達艦娘、それも潜水艦だけだろう。
とはいえ裏を返せば、そんな彼女も潜航し続けていられるのはその日限りな訳だ。
かつてのように電気やバッテリー次第ではなく、自身の体力や体調によってはそれが短くなるのだから、やはり潜航しなくて良いときは浮上しておいたほうが楽なのである。
今のように、疲れきった身体を波に逆らいながら進むのであれば尚更。
雨と波よりも彼女には海中の潮の方が怖かった。
前者はただ悪戯に自分の体力を蝕んでいくが、後者は違う。
激しい潮流に一旦引きずり込まれたら、あっという間に身体を流され続ける事になる。
それだけならまだしも、運が悪ければ海面に浮上出来ないのだ。
潮流に逆らいながら海面に浮上するのは、潜水艦の彼女でも簡単ではない。
また、深度の問題もある。
潜水艦だからと言って、何も何千メートル深くの海底の砂を拾い上げられる訳でもない。
彼女の場合は、彼女が試してみた限りで七十メートルから八十メートルが水圧に対抗できる境界線だった。
ただしそれは境界線であって限界点ではない。
人間の素潜りにおける世界記録はおよそ百メートルではあるが、あくまでこれは万全な体調のときに、ゆっくりと体に負荷をかけないように行ったものである。
潜水と潜航は違うのだ。
常日頃から潜り続け、ましてやそこからさらに潜航するのだから、単なる潜水とは比べられない。
「ただ深く潜る」という行為になんの意味も持たない事は、他ならぬ潜水艦である彼女が誰よりも一番分かっていた。
だから、きっと潜水だけをすれば彼女とてより深く潜れただろう。しかしそれに意味はない。
境界線を引いておく事には意味があったが、限界点など、確かめる理由さえなかった。
そんなものを求め、見つけ、突き詰めても、何一つだって救われはしないと。
それを分かっていたし、そんな彼女だからこそ、半日潜り続けていられるのだとしても、その間潮流に身体を押し続けられることに恐怖を抱いたのだろう。
故に彼女は海面を横断していた。
そして、遭遇する。
彼女と、彼女達と、彼女達だったものに。
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