10: ◆54DIlPdu2E[saga]
2015/01/22(木) 20:53:24.95 ID:FM5KuAEp0
商人「ドレスも宝石もねだらない、欲のない子、お土産には赤いバラ一輪を、と…」
野獣「…その娘のためのバラだったのか?」
商人「は、はい。それも、最初は私が無事戻れば何もいらない、と言ったのです」
11: ◆54DIlPdu2E[saga]
2015/01/22(木) 20:53:54.67 ID:FM5KuAEp0
野獣「よかろう。一度家に帰るがいい」
商人「ほ、本当ですか!?」
野獣「しかし、条件がある。その末の娘を伴って、ここへ戻って来るのだ」
12: ◆54DIlPdu2E[saga]
2015/01/22(木) 20:54:35.17 ID:FM5KuAEp0
馬車「ガラガラガラ…」
商人「困ったことになった…」
商人「子供達に…末妹にどう言えばいいのか…」
13: ◆54DIlPdu2E[saga]
2015/01/22(木) 20:55:13.29 ID:FM5KuAEp0
長兄「ええっ、またその屋敷に戻るのですか、父さん!?」
長姉「末妹のせいよ!あんたがそんなもの欲しがるから!」
次兄「…あああ、まだ脂の残る熊の毛皮…むせかえる獣の臭い…堪らないよお」クンカクンカスーハー
14: ◆54DIlPdu2E[saga]
2015/01/22(木) 21:01:19.34 ID:FM5KuAEp0
商人「…という訳だ…」
長兄「やっぱり俺が末妹の代わりに行くよ。銃も持って行こう、野獣を倒してやる!」
長姉「だめよ、兄さん!お父さんだけじゃなく兄さんまでいなくなったら!」
15: ◆54DIlPdu2E[saga]
2015/01/22(木) 21:02:11.50 ID:FM5KuAEp0
次兄「野獣は末妹を連れて来いとは言ったけど、二人だけで、とは言ってない」
次兄「それに父さんの子供以外の人間はダメだと言うなら、俺が同行しても約束破りにはならない」
長兄「そうだけど…なら長男の俺が…」
16: ◆54DIlPdu2E[saga]
2015/01/22(木) 21:02:39.98 ID:FM5KuAEp0
長兄「末妹…荷造りは済んだか?」
末妹「あまり多くの物は…カバン一つ分だけにしたわ」
末妹「お母さんの形見の十字架は持って行くけど」
17: ◆54DIlPdu2E[saga]
2015/01/22(木) 21:03:28.01 ID:FM5KuAEp0
次兄「動かない毛皮のコレクションより、もっと素晴らしいことを始めたいのさ」
次兄「言わばそれは昨日までの自分との決別。男の決意の表れだ」
長兄「…よくわからんが、末妹のため勇気を奮い立たせてくれたお前を尊敬しているよ」
18: ◆54DIlPdu2E[saga]
2015/01/22(木) 21:04:07.63 ID:FM5KuAEp0
次兄「しかし職人に頼めば、これからでも防寒具か何か作ってもらえるだろう」
長兄「わ、わかった。有効に使わせてもらうよ」
腐りかけの毛皮「臭気ぷ〜ん」
19: ◆54DIlPdu2E[saga]
2015/01/22(木) 21:06:07.25 ID:FM5KuAEp0
そんなこんなで、親子3人は野獣の屋敷に向かった…
野獣「期限いっぱいだが、約束は守ったようだな」
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