23:名無しNIPPER[sage]
2015/01/24(土) 01:47:08.44 ID:y9xDVq4jO
「あっはっは、そういう命知らずな人間、嫌いじゃないよ」
「だったら見逃して下さりませんこと……?」
「うん、それ無理」
次の瞬間―――二度目の轟音が鳴り響く。
向日葵が床に叩きつけられた音だった。
向日葵の身体はそのまま大きくバウンドすると、
まるでフィギュアスケート選手のように華麗な回転をキメながら、無様に落下した。
「ウガアァァァァ!!!!!!!!!!!!」
「あれ、まだ意識あるんだー。伊達におっぱい大きくないね」
頭の割れるような痛みに、向日葵は獣のような雄叫びを上げる。
めぐみの言う通り、確かに意識はあった。
しかし、同時に限界でもあった。
頭部を大きく揺らされたことにより、正常な思考、判断がままならず、
脳が全身に電気信号を送ろうとしない。
身体が、動こうとしない。
やがて石のように重たい身体が、徐々に軽くなっていくのを感じる。
痛みと恐怖で狂いそうな意識が、曖昧な安堵で満たされていく。
月に照らされ少しだけ明るかったリビングが、瞼の裏の暗闇に侵されていく。
ジ・エンド、ここで全て終わりだ。
あんな強い相手を前に勝てるはずがない。
私はよくやった。携帯を見つけられただけでも大したものじゃないか。
向日葵は朦朧とした意識の中で、自己を必死に肯定した。
肯定してやらねば、敗北という二文字の前に自我を保てなかった。
向日葵は、暗闇の世界の中に身を委ねることにした。
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