過去ログ - 武内P「あなたのお名前を」芳乃「わたくしはー」
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名無しNIPPER
[saga]
2015/01/25(日) 11:54:25.30 ID:1ScxNNNj0
「――……ハァ……ハァ……なに?」
何をしてもしばらくすれば復活する亡者達を相手に、もはや倒した数を数えることすらやめていたあやめは、
何十体目かの亡霊を霧散させながら神社から昇るその光を見た。
「ばかな! あの娘が取り戻したというのか、名前を!」
「ありえない! 儀式と術式は完璧だったはず!」
「終わるのか……我らが……!」
あやめ「そうですか……さすがは武内殿、仁美殿……」
神社からの光は空に浮かぶ異様に大きな月を貫き、それを持って集落を包み込んでいた夜の帳が
消えていく。信じられないことに、集落を含んだ地域だけの空間がずっと夜で固定されていたらしく、
偽りの月が消えた空は澄み渡る青色が見え始めていた。
「あ……青い空なんていやだ……」
「そんな……こんな……」
空が明るくなるにつれて、あやめが対峙していた亡者たちの姿も消えていく。正しい時間の流れに
呑まれるように。
「そうか、まさか依代が名を取り戻すとはねえ」
そんな中、民宿の女将であった亡者だけは最後までしぶとく残り続ける。あやめは向こうがまだ
戦闘する気なのかと構えを解かずに警戒するが、その亡者から感じる気配はすでに淀みのない
澄んだものであった。
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