82:名無しNIPPER[sage]
2015/05/02(土) 15:24:33.41 ID:tY2atR6p0
きたーやったー
83: ◆m03zzdT6fs[saga]
2015/05/03(日) 04:53:32.16 ID:t2FSlcxko
□ ―― □ ―― □
ゆっくりと目を開けた。ここはどこだ、と考えて……自宅の布団であることに気付く。しばらくあたりを見回して、畳の上に落ちている一冊の本を見ては、僅かに目を瞬かせる。
84: ◆m03zzdT6fs[saga]
2015/05/03(日) 04:55:27.64 ID:t2FSlcxko
『……よかったあ』
途端に安堵の息を吐き出すと、脱力して僕は布団へ身を投げ出した。アラームで起きていないことから考えれば、とんでもなく寝坊をしたという気がしていたのだ。こんなことはここ数年、無かったことだ。
まあ、幸い致命的なものではないし、時間には十二分にバッファがある。ともかく、終わったこととして今は片づけるとしよう。……と思ったところで、僕の中でもう一つの懸念が鎌首をもたげてくる。
85: ◆m03zzdT6fs[saga]
2015/05/03(日) 04:56:06.34 ID:t2FSlcxko
ひとまずは、今日の予定を確認しなければならない。と言っても、10時からの会社訪問以外に予定はない。完全に午後からはフリーと言うわけで。
仕事を引き受けることになったとすれば、いろいろと準備が必要だからその為に充てようという考えはある。仕事の規模にもよるが、一人で難しければ誰かに協力を頼まなければならないだろう。
ただ、結局買った本を読み終えた記憶がない。できれば、その時間を取りたい。ふと、横を見れば転がっている本が見えた。
86: ◆m03zzdT6fs[saga]
2015/05/03(日) 04:56:37.15 ID:t2FSlcxko
□ ―― □ ―― □
かん、かん、かん、という工事の音が聞こえる場所。昨晩届いたメールの住所に僕はいた。
87: ◆m03zzdT6fs[saga]
2015/05/03(日) 04:57:05.44 ID:t2FSlcxko
(小ぢんまりとしているように見えたけど、立派な建物だね)
心の中でそう思えば、エントランスホールだろうその場所で、辺りを見回す。受付に人はなく、少し埃っぽい空気の中、工事の音が響く。
一つ驚いたのは、事務デスクがぽん、とど真ん中に置かれていたことだ。机の主は不在だけれど、山ほど積まれた書類がそこに人の痕跡を残している。
88: ◆m03zzdT6fs[saga]
2015/05/03(日) 04:57:40.83 ID:t2FSlcxko
僕は、どことなく感じるそのまぶしさに少し、眼を細めて、
『あ、えっと。はい、大丈夫です』
自嘲と苦笑の混ざった笑みと共に、そう返した。
89: ◆m03zzdT6fs[saga]
2015/05/03(日) 04:58:06.99 ID:t2FSlcxko
「うむ、その件なのだがね。まあともかく茶の一つでも出さんことには、話が始まらないな」
僕が切りだしたところ、社長はそう言うとくるり、と踵を返して歩きはじめる。どうやらついてこい、という事なのだろう。
それに合わせて、ゆっくりと歩み始めた。何やら、社長がこっちを見ていた気もするけれど……まあ、気にしないことにしよう。あんまり意味はないと思うし。
90: ◆m03zzdT6fs[saga]
2015/05/03(日) 04:58:47.23 ID:t2FSlcxko
「ここだ、Pくん」
そうこうしているうちに、すでに内装がほとんど完成している廊下を歩いて、たどり着いた先は応接室。がちゃり、と社長が開ければ、僕は失礼します、の一言と共に中へと入る。
「座りたまえ、茶でも汲んでこよう」
91: ◆m03zzdT6fs[saga]
2015/05/03(日) 05:01:32.30 ID:t2FSlcxko
僕も一口すすった。そして、湯呑を置く。
『あの――』
「それでだね――」
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