過去ログ - 〜やはり私に青春ラブコメなんて必要ない〜
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11: ◆8c/Sw4f94s[saga]
2015/02/03(火) 15:54:40.32 ID:L6sICXFy0

まず好きでも嫌いでもないし、興味が無いと声を大にして言いたいところだが、中学時代それで相手を泣かせたことがあるので、むしろその時の北村君の泣き方が軽くトラウマなまであるので、もう絶対にしないけれど。

「わかった。わざわざ来てくれてありがとうね。それじゃっ」

佐久間君は爽やかに笑って、私を通りすぎる。私は振り返る事無く屋上の扉が閉まる音を確認し、一人になったと実感したところで、私はフェンスにもたれかかる。
ふと、校庭に目を向けると、ひときわ目立つグループを発見した。件の上位カーストのグループだ。
佐久間くんのことを待っていたのか、彼が合流すると、何やら少し騒いだあと、肩を組み帰っていった。

その光景に、思わずため息。

つくづく疑問に思う。彼らは、一体何が楽しいのだろうか。

瞬間、自答する。違う、彼らは楽しいのではない。「青春」という言葉に、ただただ浸っているだけ。
誰もが自分が物語の主人公で、一昔前の学園ドラマのような生活に憧れる。

「――本物、か」

ポツリとこぼれた言葉に、自分でも驚いた。

別に彼らを否定するわけではない。
人によって好き嫌いがあるように、何が正しくて何が間違っているかも人それぞれだ。

――けど、なんだろう、この胸にざわざわと渦巻く気持ちは


それは発作のように、彼らをみるとたまに私の心を散らかす。
それは怒りではなく、悲しみでもなく、嫉妬とも違う。

どちらかと言えば、羨望に近いような感情。

もちろん、青春を謳歌する彼ら彼女らに対してではない。断じて違う。

それはもっと近くにあるものへの、互いにいがみ合っているようで、互いを想い合い、幸せそうに笑う存在を、羨む気持ち。
私は、あの2人のような関係を、望んでいるというのだろうか。


……なーんて。

少しセンチメンタルに考えたところでやめる。実状、私にはそんなものはいない、けれど、その現状に満足し、そんな毎日が楽しくてしかたがない。孤独を楽しめるぼっち、これこそ真のリア充なのだ!

安っぽい青春ラブコメなんて、御免被る。



………と、そういえば機能アニメを録画していたのを思い出した。


父から唯一もらった外面的遺伝子のアホ毛が風に揺れるのを感じながら。私は屋上を後にするのだった――。






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