過去ログ - 勇者「君じゃ主人公は務まらない」
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57: ◆4S1Ttn1X06
2015/02/08(日) 20:20:43.11 ID:YZkkOVSn0



…バタン

王女「本来ならこちらから行くべきなのでしょうが、私もここから出るに出られず…。呼び出す形になってしまって、申し訳ありません」

A「王女、なぁ、勇者は……」

王女「やっぱり知っていましたか。ええ、その通り。魔王との戦いに敗れ、逃亡中です」

A「逃げてる?……あっはは、ははは、そりゃいいな。ボロボロになって帰ってきたところを殺してやろう」

王女「……少し落ち着いてください。そんなことをすれば、貴方は罪人になりますよ」

A「俺は何の悪さもしてない。……それどころか、とんだ冤罪まで被せられたこともある身だ。誰か一人殺せば、帳尻が合うんじゃないか?」

王女「落ち着いてください。今の貴方は冷静さを欠いています」

A「どうしてだよ、何故そんなことが言い切れる。俺は冷静そのものだ」

王女「勇者が死ぬかも知れない、そのことに焦っているのでしょう?」

A「……あぁ、焦れているのかもな。もしかしたら本当にアイツを殺せるんじゃないかと」

王女「そんなことをしたって、悲しみを生むだけではないですか」

A「違う、違うんだよ。……王女、あんたは分かっていない」

王女「殺人の価値だなんて、分かりたくもありません」

A「そう思っているのなら、俺のことで口を挟むな」

王女「貴方の手を人の血で汚させたくない。そうすれば貴方はきっと……」

A「俺自身でもないくせに、自分のことのように俺を語るのは止めろよ」

王女「……お互い、長い付き合いではないですか」

A「しかし全てを知っているわけではないだろう」

王女「分かり合えているとは思っていました。だから、こうして貴方を呼んだのです」


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