1:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:36:31.09 ID:MWkPTlhp0
モバマスSS。地の文注意
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2:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:38:22.92 ID:MWkPTlhp0
2月、寮の暖かな談話室。
藤居朋はストラップの沢山ついたスマートフォンの画面を見つめていました。
ストラップは朋が運勢の悪化を感じるたびに買ってきてスマートフォンに付けるもので、全て開運のお守りを小さくしたようなものです。
3:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:39:05.20 ID:MWkPTlhp0
「朋、まさかあんた具合でも悪いんじゃ…」
よくよく見てみれば、朋の顔は平常より青ざめてるようにも見えます。
海の声を聞き、談話室にいた何人かのアイドルが集まって来ました。
4:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:39:51.98 ID:MWkPTlhp0
「恋愛運☆1、思いが通じにくい一週間。仕事運☆2、やることが裏目に出そう…これって…」
朋はこくりとうなずくと、それが一週間の運勢を占ってくれるアプリであることをぼそぼそと説明しました。
少しだけ談話室内の空気が緩みました。
5:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:40:23.64 ID:MWkPTlhp0
ほんのひと月前のこと、年が明けて間もないころです。
朋、海、それに井村雪菜を加えた3人は正月の休み期間を利用して、遊びに出ていました。
この3人はユニットを組んだことから仲良くなり、プライベートでもこうして遊ぶことがままあります。
6:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:41:22.02 ID:MWkPTlhp0
そのときもなだめるのに苦労したものです。
気の持ちようとはよく言ったもので、朋の占いが悪いとメンタルに影響し、結果的に運勢が悪くなってるように見えるのです。
「悪いのはしょうがないよ、開運の方法とか、書いてないの?」
7:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:42:13.28 ID:MWkPTlhp0
これで安心かな、と海は思います。
占いの結果に調子を左右されるのも朋の性格なら、開運の方法一つで調子を取り戻すのも朋の性格です。
しかし、その開運の方法を見たはずの朋は、無言でスマートフォンの電源をかちりと切り、ふらふらと談話室を出ていってしまいました。
8:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:43:23.27 ID:MWkPTlhp0
翌日。
寮の調理室に向かう朋と海、雪菜の姿がありました。
一晩明けて、昨日ほどではなくとも、落ち込んだ朋を見かねた海が雪菜に相談したからです。
9:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:44:20.64 ID:MWkPTlhp0
「ようし、それじゃあウチが腕をふるってあげようか!」
遊びに行くことは叶わなくとも、美味しいものを食べるというのはいいアイデアのように思われました。
当人は自分をガサツだと言いますが、弟を持つ海は家事も上手にこなします。
10:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:45:11.26 ID:MWkPTlhp0
朋リクエストのうどんを調理室の机で3人ですすっている途中、朋がぽつりと呟きました。
「ごめんね、2人とも…」
それきりまた朋は黙ってしまいました。
11:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:46:42.81 ID:MWkPTlhp0
開いたドアの前にスーパーの袋を下げて立っていたのは、佐久間まゆでした。
「あれ、まゆちゃん。今日調理室を使う予約とってあったぁ?」
調理室は原則として使用する前に、寮長を兼任する高橋礼子に許可をもらい、鍵を借りなければなりません。
12:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:47:36.84 ID:MWkPTlhp0
「それは、そのぉ…」
まゆは曖昧に言葉をにごします。
どうやらただの鍵の行き違いというわけではなさそうです。
13:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:48:44.00 ID:MWkPTlhp0
「別に礼子さんに断ってからでも良かったんじゃないのぉ?まゆちゃんほっぺすべすべ〜お化粧のしがいがありそぉ〜」
雪菜がまゆのほっぺたをすべすべと指でなぞりながら言いました。
「まゆのプロデューサーさんはとぉっても素敵な人ですから、どこからライバルが出てくるかわかりません。絶対に秘密です」
14:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:50:15.06 ID:MWkPTlhp0
「大体ウチたちがここを開けてなかったらどうするつもりだったのさ」
海が尋ねます。
「他の人には言わないでくださいよぉ」
15:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:51:14.92 ID:MWkPTlhp0
「あぁ、今日は夕方からレッドバラードのお仕事があるから…」
礼子は今は不在、雪菜が手をぽんと叩きます。
レッドバラードは比較的年齢層が高めなユニットなので、夜までかかるディナーショーなどの公演の仕事が多いのです。
16:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:52:04.67 ID:MWkPTlhp0
「いいよ。言わない。ウチらは片付けたら行くけど、鍵はウチが返すから終わったら閉めてもっておいで」
運命の人の為だもんね、と海が笑いかけます。
まゆは照れくさそうにお礼を言いました。
17:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:53:57.26 ID:MWkPTlhp0
「ちょっと私考えたんだけどね」
ぼんやりと座っていた海に口紅を塗り直しながら雪菜が言いました。
「朋ちゃん、きっと気にしてるんだろうねぇ」
18:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:54:45.97 ID:MWkPTlhp0
同じ頃、朋の部屋。
朋は今日1日あったことを振り返っています。
2人が食事会を提案してくれた時は嬉しさと同時に申し訳なさもありました。
19:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:55:24.34 ID:MWkPTlhp0
ドアの前に立っていたのは、海と雪菜でした。
「心配で見に来ちゃったよ。朋、腫れぼったい目だけど、寝てたのかい?」
海が、母親のような声をかけながら朋の頭に手を乗せます。
20:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:56:18.32 ID:MWkPTlhp0
泣きやんだ後に海と雪菜に謝罪を改めて述べた朋の顔は昨日からの沈みきった顔とは違う、すっきりとしたものでした。
もう大丈夫だろうと、2人は消灯時間の前に朋の部屋を出ていきました。
布団に入ってから、そういえば、と朋はひとりごちます。
21:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:57:19.33 ID:MWkPTlhp0
次の日。
仕事から寮に戻ってきた礼子は、キーボックスから調理室の鍵が持ち出されているのに気づきました。
書き置きなども残っていません。
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