過去ログ - 怜「うちと一緒に夢の国行かへんか?」
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12: ◆yHSiLEH7lA[saga]
2015/02/14(土) 00:53:09.31 ID:onL5ryZJo
「〈夢見人〉……」私は怜の言葉を繰り返した。

「うちは体外離脱者(リダンツァー)こそがその〈夢見人〉やないかと考えとるんや」

「はえ〜、世の中は知らんことだらけやなあ。〈夢見人〉って結構いるもんなん?」

「一般的やないし、そんなにはおらんと思うで。有名なんは米国のランドルフ・カーターとか、少し前やと英国のアンリ=ローラン・ド・マリニーがおるな」

「もう一つええ? 夢の国に行けるってことは、やっぱり幽体離脱は夢の一種ってことになるん?」

「そう考えるのが一番わかりやすいな。たださっきも言うたけど、必ずしも真理が人間の想像可能な領域にあるとは限らんで。なにかを証明して誰しもが認めたとしても、宇宙全体からみれば真理とは程遠いもんかもしれん。まあそんなこと言うたら“証明”に意味がなくなってしまうし、学者の存在を否定することになりかねんけどな」

「つまりどうしたらええの?」私は怜の理屈っぽい語りに若干嫌気が差していた。

「自分で決めるんや。想像したり得た情報から、なにを信じるかを。そのためには多くの経験をして知見を広め、深める必要がある。人間は自身の知見の中でしか生きられんのやから。というわけで竜華――」怜は少し照れながら「あんた、うちと一緒に夢の国行かへんか?」と言った。

「どっかで聞いた台詞やな」私も照れた。

正直、怜の言葉を半分も理解できていないだろう。しかし誰かと行動を共にするのに十割の理解など必要ない。相手が親友であればなおのこと。

怜と一緒であれば、いつ如何なるとき、なにをしていても楽しい。

断る理由などなかった。


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