過去ログ - パワプロ「あ、そうだ。今日○○の誕生日だ」
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3:[saga]
2015/02/14(土) 03:18:28.02 ID:dWrBQdg30

 聖「む、進先輩。今日はもう上がるのか?」


 この子は六道聖さん。パワプロ君や僕より一つ下の後輩の同じ野球部で、僕と同じキャッチャーをしている。
 入部当初はさほど珍しいとは誰も思っていなかった。それは早川先輩やみずきちゃんの2人の女性選手が先に入部しているからだと思う。
 小山先輩は女性みたいけど男性なんだよね・・・


 進「うん。兄さんも早くに上がっちゃったから、僕も帰ろうと思って」


 聖「そうか。気を付けてな」


 進「うん、じゃあまた明日」


 聖「うむ」


 お寺育ちの女の子だからか、古風な話し方で別れを告げて僕はそのまま歩いて行った。
 グランドを横断して校門を出ると、一度振り返ってまだ自主練習をしている後輩や同級生を見た。
 その中には多少話したり、練習をしたことのある人は居るけれど先ほど会った、六道さんの様な親しい人が見当たらない。
 

 進「・・・きっと、何か用事なんだよね・・・」


 そう自分に言い聞かせる。しかし孤独が僕の胸を締め付けてくる
 

 今日は僕の誕生日だ。


 でも、皆は何も言わない。去年は僕が言うのが遅れてしまって、後日皆がお祝いにプレゼントをもらったりした。
 もしかして忘れちゃったのかな?と思ってしまう
 僕は少し乾燥した空気のせいか、唾液で乾いている唇を潤すのと一緒に噛みしめて、孤独を紛らわすかのように走り出した。
 
 


 しばらく走っていくと僕は少し息が上がってしまい、立ち止まった。そこで横を首を横に向けると、いつの間にか河川敷の隣の道に着いていたのに驚いた。
 僕はそこそこ足が速いから考え事を振り払っている内にこんなところまで来ちゃってたんだ、と半ば自分に呆れた。
 夕日が水面に映って綺麗なオレンジ色に染めている。綺麗だなぁ、と心底本当に思う
 僕の家にお父さんが買って来たり貰ったりして飾ってある、美術品よりもすごく美しく感じる。
 

 進「・・・兄さんにも見せてあげたい・・・」


 僕の兄さんはいつでも野球に専念している。こういった景色とかには興味はさらさら無いのはわかっている
 でも、一度だけでいいから見せてあげたいと思っている。
 そんな事を考えていると、カバンの中に入れている携帯電話が振動した。取り出して表示されている名前を見た。
 それは意外な人物からだったので、少し緊張気味に電話に出た
 

 進「もしもし、兄さん?」


 猪狩『進、今何処にいるんだ?』


 電話の相手は兄さんだった。普段は僕の携帯に電話なんてかけて来ないのに・・・


 進「えっと、河川敷に居ます」

 
 猪狩『そうか・・・すまないが、もう一度学校に戻って部室へ来てくれないか?』


 進「え・・・?あ、はいっ。わかりました」


 猪狩『ん・・・じゃっ』


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