過去ログ - [オリジナル] The Five Elements 〜New Contract Peach Warrior〜 
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13:名無しNIPPER[sage saga]
2015/02/14(土) 09:52:33.86 ID:638Opjkd0

「これは――」


 ドッキリか何かに俺を引っ掛けているのではないか――
 そう思った。
 いきなり「鬼」なんて言われれば誰だってそう思うだろう。
 
 
 だけど――


「――角が生えてる……」


 おじさんに付いて行った先、今度は同じ階にある一室に通された。
 未来的に感じる自動ドアを潜ると中は仄暗い暗室。
 何かの機器が発する幾つかのグリーンライトに照らされながら奥へ進むと……


――そこには 鬼 がいた。


 2メートルは優に越そうかという具合の大きな培養器のような…… モンスター、特撮映画などに出てくる、怪物を収容している円柱型のケース…… まさにそんなイメージがピッタリだ。
 
そんな透明なケースの中に 鬼 がいたのだ。

 そう形容するほかなかった。

 全身を鎧の様な外殻に包まれた筋骨隆々の人型。
 縦幅、横幅共に大柄で収容しているケース一杯に鎮座している。
 額からは鋭利な一本角が生えていて、体にはケースから伸びた用途不明なチューブが幾つも刺さっている……
 目は固く閉じられていて身動き一つしない。

 そんな…… 薄緑の謎の液体に満たされた鬼がいたのだ――


「――おじさん…… これは一体」
「これが鬼だよ」


 作り物と言えばそれはそれで納得できるけど、わざわざ俺にドッキリを仕掛けるためにこんな大掛かりなセットを準備する必要はない。
 ということは――


「――本物!?」


 未だ信じられないが、しかしそこで急激にゾッとした悪寒がやってきた。
 嫌な汗が背中をツーッと一筋伝い落ちたのがわかる。


「大丈夫だよ。生きてはいないから――」


 恐怖に身がおののき、自然と体が動いて数歩後ずさりしてしまう。
 こいつの目が開いて、ガラスに包まれたケースを破り俺を惨たらしく殺すのではないか――
 そう感じたからだ……
 しかしおじさんのその一言で恐怖はとりあえずのところ払拭された。


「――先刻言ったように、私はこのような怪異を専門に研究している」


 俺が一息ついたところを一瞥し、それから再び目の前の怪物へ視線を注ぎながらおじさんは一人語り始める。


「始まりは昔、大昔…… 太古の昔と言える時代まで遡る。
 これを見れば分かるとおりに、この世には説明し難い…… 理解し難い種が存在している。
 人間はそれらを 鬼 と呼んだ。
 鬼は時に人間を襲い、また時に助けてもきた――」


 正直言ってこれが実物だとしてもまだまだ…… いや、到底…… 受け入れられるものではなかった。
 鬼…… 昔話や創作の世界ではお馴染みの存在ではある。
 だがそれが実在するとなると…… いや、実在するはずがない!
 だったら目の前のこいつは……



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