34:名無しNIPPER[saga]
2015/02/23(月) 23:22:19.48 ID:c7AogKX+O
「……あの、ね」
女の子がまっすぐこちらを見る。
隠れている方の瞳が、ちらと見えたような気がした。
一瞬、吸い込まれるような感覚。汗が噴き出て、心臓が早鐘を打つ。
眼をそらさなきゃ。そう感じたのに、体は動かない。
「…………お姉さん?」
「あ……れ?」
女の子の片目を隠していた前髪が滑って、両目が露わになる。
なんのことはない、普通の目。別に、ぽっかり穴が開いているわけでも、異常な色をしているわけでもない。
さっきまでの感覚はウソみたいに消えて、なんだったのかもわからない。
「また、ぼーっとしていたみたい……ごめんなさい、大丈夫」
「そう……」
少し、体調が悪いのかしら。早めに帰って、あったかいものでも食べよう。
そう決めて、女の子に謝ってその場を後にすることにした。
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